こうした意見をメルケル独首相はプーチン大統領との電話会談で伝えた。こうした見解は以前も、オバマ大統領をはじめとする西側の他の政治家らの口から出されていた。だが、2008年、コソボが一方的に主権を宣言した時には、米国もドイツ他の一連の諸国もこんなことは言わなかった。しかも、コソボとクリミアの情勢はたいして異ならない。違うのは、クリミアが他の国家の管轄下に移行しようとしているのに対し、コソボは例えばアルバニアなど、他の国の管轄には入らなかったことだろう。
さらに特筆すべきなのは、コソボの場合は問題の多くはこの地方の独立宣言の構想によって引きおこされたのではなく、主権を勝ち取った市民個人にあったことだろう。
コソボのアルバニア系住民と国家としてのアルバニアは最初から本物のテロリストらによって率いられていたのであり、その手は肘まで血に染まっていた。それでも国連加盟国の193カ国のうち108カ国がコソボを承認した。国連の国際裁判所はコソボの分離は合法との判決を下した。これがなされたのは、いくつかのケースでは民族自決権が国境を不可侵の原則に優越するからだ。
国際法律家のヴァレーリー・ヴァニン氏はこれに関して、クリミア自治共和国が望むウクライナ新政権から離脱は国際法の基準とは矛盾するとして、次のように語っている。
「クリミアの希望は、国家の領域に、そこに住むあらゆる民族の意思を反映する政府が存在しない場合、いかなる民族も自ら状況を決定しようとするという点が多少国際法の規定と矛盾している。まさにこの場合、国連の基準文書にしたがって、民族は最高で分離をも含める自決権を有す。」
だが仮にこうであるとすれば、なぜコソボには許されて、クリミアには許されないのだろうか? この問いへの答えは明白だ。これは西側特有のダブルスタンダードを手法とする政治だからだ。
高等経済学校、国際経済世界政治学科、欧州国際複合調査センターのチモフェイ・ボルダチェフ所長は次のようにコメントしている。 「 この政治は最も普及した、欧米が外交手段として共通に用いる普通のものだ。そしてこれを我々はよく理解している。このため問題は我々のパートナーが本当のことを言っているのか、嘘をついているのかではなく、これに我々が対抗できるかどうかにある。」
ダブルスタンダードについては10日のロシア外務省の声明にも表された。
「自称新政権がいわゆる『右翼セクター』の武装戦闘員の行動を完全に黙認したために、ウクライナ東部の数州が無秩序な状態に陥っていることに対し、ロシアは憤りの念を覚えている。
3月8日ハリコフで完全装備で銃で武装し、顔面をマスクで覆った人々が一般市民を銃撃し、その結果負傷者が出るところまで事態は達した。
ドネプロペトロフスク警察は、7人のロシア人ジャーナリストらを拘束し、事実上、彼らの(報道が)非客観であると嫌疑をかけた。
このほかウクライナ政権はあらゆる二国間合意に違反し、ロシア連邦の市民をウクライナ領への入国を許可せず、事実上、国境における協力に障壁を設けている。 だが、 西側のパートナーたち、人権擁護組織、外国のマスコミはこれを見てみぬふりをしている。ロシア外務省の声明には、「高名な客観性、忠実、民主主義はどこに行ってしまったのか」という問いかけがなされている
http://japanese.ruvr.ru/2014_03_11/268807096/