スリランカの自殺率が何故高いのか、と思いますね。 仏教国なのに。8年ほど前の記事ですが、まだこの伝統が続いているのでしょうか。スリランカを訪問して感じたことは、「暴力的はでない人たち」と好印象でした。

他殺:暴力性が外に発揮された場合

自殺:暴力性が内に   ”

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2004年09月13日

仕返しや復讐心から自殺に走る傾向目立つ
 
欧米型の概念と異なるスリランカ社会

【ジャフナ(スリランカ北部)12日=佐藤あゆみ】9月10日の世界自殺防止の日は、高い自殺率に悩むスリランカにとって重要な意味を持つ。欧州や米国での自殺の原因の多くが、心の病や悲しみ、うつによるのに対して、スリランカの自殺の原因は仕返しや復讐心によるものが多いという。世界自殺防止の日は、世界保健機構(WHO)と国際自殺防止協会が制定し、ことしが第1回目。自殺に対する注意を喚起し、自殺防止の行動促進を目的にしている。

 11日付の地元紙デーリー・ミラーによると、スリランカは1948年に独立してから1995年までに、10万人に対して6.5人から47人まで自殺者が増加した。

 警戒を要するこの状況に対し、1996年に地方での「自殺防止プログラム」が始まった。このプロジェクトにより、初めの2年で自殺率は減少した。現在、「自殺防止プログラム」は約60の地域で行われている。

 このプログラムでは、訓練されたスタッフ達が病院を定期的に訪れ、自殺を試みた経験のある人々に対し友として力を貸し、可能な限り自宅も訪問している。また家族の誰かが自殺した家庭や、トラウマに苦しむ家庭を頻繁に訪れている。さらに学校で人間関係や生活技術に関するプログラムも行っており、特に女性に対して縫い物、手工芸、語学などのセミナーも開いている。

 スリランカで自殺を試みるのは、大抵が貧しく、地方に住んでいる人々だという。そしてその85-90%が殺虫剤などの毒による。性別では、男性は女性よりも自殺率が約3倍高い。男性の場合、自殺者の約半数が、酒に酔っていた時に自殺している。

 年齢別では、男性に関しては、年齢によらずに自殺率は一定しているのに対して、女性は、思春期の少女や若い女性で特に高い自殺率が目立つ。米ペンシルベニア大学のジーン・マラセク教授(心理学)によると、若い成人の自殺のうち25%が男性であるのに対し、女性は40%を占めている。

 11-15歳の子どもで警戒すべき自殺率の増加がみられる。村に住む子どもたちに、「ストレスのある状況」について絵を描いてもらったところ、35%の子どもが家庭内暴力、父親のアルコール依存症、そしてこうしたストレスを恥や不名誉な事としている。また、子どもたちは毒で自殺できることをよく知っているという。

 全般的な自殺の動機をみると、人間関係における突発的な衝突、裏切り、侮辱、言葉や身体的な攻撃によるものが目立つ。事前に計画されものではなく、数分あるいは数時間考えたうえの行為であり、数日や数カ月かけたものではない。

 スリランカでは自殺を精神病やうつが原因だと考える人はごくわずかである。特に地方でその傾向が強い。代わりに自殺は危害を加えた人に対して、怒りのもとに衝動的にとられた行為であると考えられている。

 西欧では、一面、自殺は孤独に陥った人が、人生から逃れるための手段などと説明されている。これに対し、スリランカでは自殺は他者に対する意思表示とされており、異議をとなえる手段とされている。

 従ってスリランカの人々にとって、西欧型の自殺は臆病で理解しがたいものとなっているのに対し、「意思表示の自殺」は広く理解されて、否定的に捉えられることは少ない。また自殺は、悪事を行った者に対して復讐や仕返しの行為とされており、これは「良い」自殺と考えられている。

 マラセク教授は、こうした状況から、スリランカには西欧の自殺防止策は適用し難い述べている。臨床的診断よりもむしろ、親密な関係のある社会基盤を備えることが自殺防止になるとされている。
http://nzisida.lolipop.jp/04_09_23_.htm