さてひどい扱いを受けた光vs阿波北である。
この前に、1回戦で南波に勝った後、ダントツ監督から「5分でメシを食って練習」といったハードスケジュールを組まされた光の選手達。ただ大会期間中、グラウンドでの練習は2時間に限定されている。こんな中でどんな練習が出来るか、ちょっと考えてみた。
前提としていえるのは、光の宿舎『はやし屋』は、当時の高校野球らしく旅館である。駐車場等の野外スペースも限られているだろう。時間以外に外で出来る練習はひじょうに限定的なものになる。それを踏まえて次のように考えてみた。
大会2日目〜4日目が特別強化期間とでもいうべき時期になる。まずはこの3日間の練習である。
まず朝は5時起きで、10分で準備をさせる。5時10分からたっぷり1時間散歩をする。この時、北見校長ならば
「お世話になっている方々になにかお返しをしましょう」
と散歩中のゴミ拾いを提案しそうである。また、こういうことに前向きに取り組みそうな光の選手達である。
散歩の後は朝食までの間、ストレッチなどで体をほぐさせる。ストレッチ?程度と思われるかもしれないが、地味なトレーニングを朝食までの間しっかりやるのはけっこうしんどい。
7時から朝食。これは10分で食べる。
さて、光高校のグラウンドでの練習時間だが、10時〜12時と仮定して以下の話を進めていきたい。
南波戦では序盤にあと1本が出たらもっと試合を優位に進めることが出来た筈である。ということで、バッティングに力を入れることになる。
9時まで、チームを3つに分ける。1チームは屋内でシャトルコックを使いバッティングをする。ふすま、障子の養生には布団を使う。トスするもの3人で1チーム、バッティングするもの4人で1チームだ。トスする者が1人足りないと思うかもしれないが、そこは北見校長にやってもらおう。ただ、北見校長はトスするだけである。トスする時は休めるように思えるが、常に1人休めないということになる。
残り4人は外で素振り。これをローテーションする。
9時になったらグラウンドに出発である。ただし、光高校らしくバスは使わない。ランニングである。
このランニングにはもう1つ狙いがある。関東の暑さと関西の暑さは質が違う。関西の暑さに慣れることも狙いである。
こんなことをやっていたら体がもつのか?という疑問はある。ただダントツは西東京大会の青美林戦の際、2時起きの徹夜をさせた代わりに、しっかり朝食を取らせている。その上で、その日の試合終了後は休みにした。こういうメリハリのついた、この時代の常識にとらわれないことをやる指導者である。
ダントツの『ダントツ』作中での言動からすれば、水分補給させ
「水分補給ではバテない体力をつけろ」
とでも言うだろう。
グラウンドでの練習はシートバッティングが基本になるだろう。光のベンチ入りメンバーはレギュラー9人+エントツ、シンヤの11人だろうから、守らなければならない。これをローテーションで行うのもけっこうハードだ。
これを12時まで行い、またランニング。これは長い試合を見越してのトレーニングも兼ねている。
13時〜15時まで、1番暑い時間帯に昼食、風呂、休憩をいれる。休みも練習のうちである。
15時以降、19時までまたシャトルコックバッティングと素振りのローテーションを行う。ただ、今回は新太郎と竹馬は別メニューとする。バッテリーにはデータ分析など別にやってもらうことがある。
19時から夕食。就寝は21時。ここを自由時間にするか、素振りをさせるか?ちょっと悩むが、朝からこれだけバットを振ればクタクタだろう。あっという間に爆睡だろう。
大会5日目には2回戦の組み合わせ抽選がある。最短で大会7日目となるので、ここからは調整日程に変えるだろう。
ただ、選手達の緊張感を保つ為、朝から緩めない。若菜は9時までしっかりバットを振り込んで、さらにランニングで甲子園入りしたと思う。だからヘロヘロになっていたのではないだろうか。
そして決まった8日目第1試合。調整方法の切り替えを含め以降次回である。