『ナナマルサンバツ』、『SQUARE』準決勝STEP3の感想です。

しかしルイージの南がここまで目立つ戦いになるとは思っていませんでした。確かに、勝ち抜けポイントまでは距離がある状況だったので、攻めのクイズを展開する必要はあるのですが、1抜けに拘る必要はないかと。自分は強い!という事を誇示したいようにしか見えないですからね。
まあ、よく考えてみれば、南は2回戦で開城に早抜け合戦を提案していますからね。そういうタイプだとはわかりますが。(ある意味、性格の伏線になっている)あの時は拒否された上に結局負けるという、何気ないようで本人は屈辱に思うだろう展開だったので、ああいう気持ちになるのもわかるけどね。
あ、私は南を完全否定している訳じゃないですよ。大きく評価しているポイントが2つあります。1つは、越山との戦いに見せたセンス。元素記号で答えた辺りは流石、と思いましたね。あの形式はいかに早く、多く書けるかですから、早く書ける方法が気づくかどうかというのも、大事なメソッドですからね。
もう1つは、勝負への拘り。やはり勝ち上がらないと先に進めない形式ですから、『SQUARE』は勝負の場なんですよね。勝負しに来ているというのは、正しい心がけですからね。
そして南はチームメイトにも恵まれました。南の苦しさ、思いをわかってくれるチームメイトでした。それがなかったらこのチーム空中分解ですよ。

南を書いたら、次はやはり帝山の志賀ですね。STEP3には越山と御来屋がいて、大蔵に南と色が濃いメンバーが揃っていましたが、負けず劣らずいい掘り下げのあったプレーヤーでした。
何でもそこそここなせる、というのは逆にいえばなかなか華々しい結果が出ないんですよね。どうしても早押しの強いプレーヤーがクイズでは目立ちます。自分はタイプとしてはむしろ南に近いのですが・・・志賀タイプは自分の仲間達なら中将ですね。違いは中将は志賀と違い、常に熱い男ですが。(戦いに覚醒してからの志賀のような感じ)
それに志賀の思いもわかるんですよ。やはり実力の向上は人それぞれですし、早押しの向上は益々人それぞれ。後から来たのに追い越される事が続けば、戦いにドライになるのも理解出来ます。

少し脱線します。私が大学時代作ったクイズ研究会では残念ながら、後輩達で我々四天王(私、丞相、提督、中将)を追い越すレベルまできたのはいませんでした。しかし常に思いがありました。
自分達がベタ問題として行っている問題、当たり前として行っている形式は、全て先人達が作り、編み出して来たもの。いうなれば後からきたのはその上澄みの良いところだけを頂いている訳です。
後から来たのにセンスがある人間がくれば、より短期間でその上澄みを自分のものにしていきます。+αにかける余裕が出てきます。つまりセンスが同レベルであれば、同じ年数を重ねたら強いのは後から来た者になりやすい傾向があるという事です。
大学以降クイズから離れていたからこそ、今のクイズ界がものすごくハイレベルになっているのは、断片的に触れただけでもわかります。ただ上澄みが濃くなれば濃くなるほど、ベースがしっかりしていないプレーヤーが増えるのでは・・・とも思っています。
実際どうなっているかはわかりませんが、おそらくこの危惧は間違いではないような気がしています。

『ナナマルサンバツ』に戻ります。だからこそ、志賀が最後に負けて泣く事が出来たのは良かったと思いましたね。
それに、何かギスギスしていた帝山の河チームと森崎チームが、終わって1つになったような感じがしました。河が森崎を煽っていたのは、まるで勝負師として、そしてリーダーとしての森崎の覚醒を待っていたかのような、突き放して育てていたような、そんな感じがしました。
森崎がかつて夢見ていた“憧れの先発と大舞台”は叶わぬ夢となった訳ですが、どんな世界でもそういう話を聞くと
「先輩いなくなったらどうするの?」
と思うんですよね私みたいな人間は。まして河がいなくなった後は森崎が帝山を引っ張っていく存在でしょうし。
この敗北で森崎は1つ大きくなったと思いますね。

帝山で、敗北で大きくなったといえば
「来年は勝つ」
と言っていた虎壱でしょう。あの発言は、虎壱の竜壱離れを象徴していると思います。これまでは兄のコピーキャットとしてのクイズだったのが、これからは自分の意志でのクイズとなります。竜壱離れをする、森崎ら帝山のメンバーと悔しさを共有するという事は、帝山でクイズをやっていくわけです。初めて道を違えた兄弟がどうなっていくか?想像するだけで面白いです。

そうです。この辺りから『SQUARE』が終わった後、いや連載が終わった後の未来予想図を想像する様になりました。帝山については“リーダー森崎、エース虎壱のチーム”という姿です。他のチームについても色々ある訳ですが、これは後日にまわしましょう。まずは『SQUARE』に着いて書いていきます。

そう言ってルイージの南と帝山の志賀だけで長くなりました。以降次回です。