淳矢淳矢が観た2020年映画ランキングTOP10 | ピン芸人・淳矢淳矢のブログ。優柔不断で慎重派。

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主に映画のランキングをつけています。

どうも淳矢淳矢です。

映画を見始めて三年。

去年は新作旧作合わせて205本でしたが、今年はコロナ禍も手伝って359本
その中で今年公開の作品は
91本


その中から今年も自分なりの順位をつけて感想も添えてみました。



ちなみに前もって言っておきますが
『パラサイト 半地下の家族』
わざわざ好きと主張するまでもないと思い外しました。
パラサイトは現代の義務教育!みなさん観ましょう!
(年明けから金曜ロードショーでノーカット放送あるしNetflixで配信開始もされますし)




というわけで10位からいってみましょう!!




第10位
『サーホー』

「バーフバリ」のプラバース主演最新作。
序盤はインド映画のノルマであるダンスシーンをこなしつつ、プラバースとヒロインの様はトム・クルーズ&キャメロン・ディアスタッグ「ナイト&デイ」を彷彿とさせるバディムービー。
そして「見えるものが真実とは限らない」というセリフをフックに中盤で一捻り。
結果、映画2本観たと錯覚するかのような大ボリューム!(というか尺が169分なので錯覚でもない)

スローモーションの多用、キメの壮大な音楽、激しいカメラワークと全てはプラバースをカッコ良く撮るため
その圧倒的な情報量で一瞬たりとも気を抜かせない。抜かせてくれない。
タイトルが出る瞬間は血圧が上がるのを感じるほどにブチ上がりました!
普通のアクション映画に飽きがきた人に観て欲しい、あらゆるエンタメを足し算した濃ゆい味付けの作品!
スケールの大きさでは他の追随を許さない!
そして観賞後間違いなく疲労感は付き纏います!




第9位
『ランボー ラスト・ブラッド』

今度こそ本当に最期のランボー。
正直個人的にランボーシリーズ自体はそこまで肩入れしてないんですが、今作は戦う理由が非常に明快で、力でしか自己表現ができない漢ランボーの哀愁をシリーズで一番感じられました!
ランボーが隠居生活に入るなんて世界が許してくれないかのように、暴力の世界に逆戻りして行く姿のなんと切ない事か…。
最初の一撃はとても涙腺にきました。

一転、巷で大人のホームアローンと言われる終盤の展開は実に爽快!
キチンと序盤の探検を見せる事でフリがとても効いている!
そして決め手の弓矢!ランボーはこうでなくっちゃ!
更にシリーズを観続けた人へのプレゼントのようなエンドロールも最高!

前作で十分終われたのに…という声にこれ以上ないほど応えた実に意味のある完璧なシリーズ最終作だと思います!
ありがとうランボー!!






第8位
『レ・ミゼラブル』

あのミュージカル映画とは全く別物のフランス映画。
犯罪地区に配属された新人警官は、暴力でしか治安維持できていない警察の実態を目の当たりにする。

正義のない者による支配とそれにより起こる市民との対立。
そんな秩序を持たない両者の負のスパイラルが当然喜ばしい結末を迎えられるわけがない。

ラストの火炎瓶の炎の揺らめきに様々な思考を促される深い余韻を残す作品でした。
あまりの衝撃に終わってすぐには立ち上がれなかったのをよく覚えています。
去年から色んな映画が「ジョーカー映画」みたいに言われるのが半ばブームみたいになっていましたが、個人的にはこれぞジョーカー誕生譚







第7位
『デッド・ドント・ダイ』

地軸が傾きゾンビ大発生という終わりの始まりにも関わらず、繰り広げられるのは真面目に観たら損をするスローテンポな外しギャグのオンパレード。
所々挟まれるメタ発言、Wi-Fiを求め彷徨うゾンビ、アダム・ドライバーの愛車がやたら小さいなど好きなシーンが沢山。

こんな事を映画ファン歴が浅い自分が言うのはおこがましいとも思いますが、色んな映画を観てきたからこそ味わえるご褒美のような映画。
激しいアクション、秀逸な伏線が張り巡らせられたサスペンスも良いけど、ゆったりとした気分でくだらない映像と展開に身を委ねるのもまた一興
この映画に監督の込めたメッセージがあるとするならこんな所ではないでしょうか。






第6位
『私をくいとめて』

「勝手にふるえてろ」の大九明子監督のお一人様映画。もうこの組み合わせで勝ち確定な映画だったんですが、更に今回の主演はのんさん。
一人を満喫しながら世間との関わり合い方で悩むアラサー女が絶妙にマッチ!
ふわふわした雰囲気と芯のある部分を併せ持った彼女の"のん力"が今回も存分に発揮されていました!
「この世界の片隅に」でも声のみで見せてくれてましたね!

基本的に主人公みつ子の気持ちに寄り添い続けて話は進むので、終盤は映画を見ている老若男女みんなみつ子は自分と感じていたのではないでしょうか。
些細な事で喜び悩む主人公とのシンクロは次第にとんでもない域までいき、終わる頃には現実の自分を取り戻すのに脳がクラクラする程でした。
ここまでキャラクターに思い入れて入り込む事とは…実に稀有な映画体験でした!






第5位
『スウィング・キッズ』

朝鮮戦争の捕虜収容所で政治利用のため結成された寄せ集めのタップダンスチームを描くダンス映画であり戦争映画。

主人公が、立場で縛られていても体さえ動けば自由に表現する事はできる、と言わんばかりに踊り出す様は、どんな状況でも幸せな瞬間は生まれるという事を体現していて、これだけでこみ上げてくる物があります。

シンプルなダンスのエンタメ性とバラバラの個性のチームが次第に心を通わせて行く様だけで十分面白いんですが、ここで終わらないのがこの映画。
この多幸感に戦争の悲劇性が容赦なく介入してくる。
最大の山場であるクリスマス発表は、ダンスの気持ち良さやらなんやらで心がどうにかなってしまいそうでした。

そこからの短いエピローグも苦さから快感まで徹底的に揺さぶってくれて最後まで隙がない!

全体通して編集テンポもダンス同様に心地良く、おもしろ曲線が終盤は向かってキレイに登って行くので、万人楽しめる作品です!
楽しいだけで終わらないのも良い所!





第4位
『ブルータルジャスティス』

破天荒な犯人逮捕で無給の停職処分をくらったメル・ギブソン演じる刑事が、相棒と共に犯行後の犯罪者の大金を横取りする計画を立てる。

ローテンポで進む序盤はS・クレイグ・ザラー監督の特性を把握していないと退屈に感じてしまうかもしれませんが、心構えでできていれば実に充実した贅沢な時間に変わります。
軽い笑いを交えながらキャラクターの魅力を語り、そのシーン自体の面白さを保ちつつ、後半へのフリも忘れない。
これらを冗長にならないギリギリの塩梅で語り切る、まさしく名人芸。

そして一度ギアが入れば心臓を直握りされるような緊迫感!
この落差こそ監督の真骨頂!本当に暴力の度が過ぎてる!!

特に強盗のシークエンスは一番衝撃でした。
わざわざ急にフリ直してから突き落とすまでをじっくり時間をかける。
ここまで出来るのは監督の自信の表れでしょう。

ちなみに劇伴も監督が自ら作曲しているという。
どこまで多才なんだ!映画に大してストイックすぎる!

気軽に入ってなんとなーく観てあー楽しかったー。にはならない作品ですが、目を覆うような描写も硬派で重厚なストーリーも長い上映時間も、これぞ映画を観ている喜び!と改めて感じさせくれるような素晴らしい作品でした。





そしていよいよトップ3!!!





第3位
『ミッドナイトスワン』

「全裸監督」の内田英治監督脚本。
故郷を離れて新宿で生きるトランスジェンダーの凪沙が、ネグレクトを受けていた親戚の一果を嫌々引き取る事になる事から物語は始まる。

この映画のLGBT描写が現代において古いという意見も見ますが、こういう扱いを受けている人はまだまだいると思います。
少なくとも僕の親世代は絶対に平等には見れていないし、僕らの世代も平等に見れていない歴史を経た今の自分が完全に平等に見れるようになっているかは疑問です。
マイノリティからマジョリティになっていく過程であぶれてしまった、さらなるマイノリティ。
中学生の時のHな話題解禁に乗り遅れたみたいな感じだと思います。たぶん。
そういうわけで、あの面接はそういう三者が交わったシーンなんじゃないかなーと感じました。

一果を邪険に扱っていた凪沙が次第に心を寄せるようになり、それが決定的になるハニージンジャーのシーン、二人の関係性が周りに意識的にでなく認められる「お母さん」シーン、自分のために凪沙が起こした行動に一果が思わず反抗してしまうシーン、特に印象に残りました。

劇伴も非常に良く、ここまで胸を打つのはララランド以来
YouTubeにあげられている公式15分予告を観て、何度も涙を流せるほどに深く刺さりました!
たとえ報われなくとも愛情を注ぐ事をやめてはならない。そんな事を思わせてくれる映画。

ちなみの公式YouTube15分予告↓






第2位
『リトルジョー』

品種改良で生まれた人を幸せにする香りを放つ植物リトルジョー。その香りにより研究者たち、その家族にゆっくりと確実に異変が起こっていく。

ホラーの分類ではあるんですが、派手に驚かせるのは犬が飛びかかるシーンくらい。
それ以外は植物の存在がじっくりと人間社会に侵食して行く不気味さが描かれます。

まずリトルジョーの美しさと不気味さを同時に表現した絶妙な色が見事。
言うなれば叶姉妹の纏う赤。まあ派手な赤って事ですけど。 
ちなみに異変が起こっているシーンは叶姉妹レッドが画面に入るという色演出がありました。

リトルジョーの毒牙にかかり、昨日までの知り合いが知らない"誰か"になってしまう恐怖、人間味を失ってしまう描写はジョーダン・ピール監督の名作「ゲットアウト」を彷彿。
更に植物が人間を捉えたように花開く姿や、まるで人間を監視しているかのようなカメラワークは、物言わない植物の生きてる感を感じて非常に不気味。

音楽も不穏さを掻き立てる物ばかり。
オープニングも耳障りな高音で始まるし、見せ場での洋物スリラーに似つかわしくない和楽器BGMも非常に胸をザワザワさせてくれる。

感想に不気味って言葉を使わずに語れない、映画のパラメーターを不穏さに全振りした、僕の琴線に触れまくる作品でした!
これが刺さる感性で良かった!







第1位
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』

個人的に初めて観たファティ・アキン監督作品で、この監督を知るきっかけとなった今年の幸運な出来事の一つ。

自分の欲望のために自分でも口説けるレベルの女を口説く。
しかし自分が美女どころかまともな女性を口説く自信もないので、結果容姿も年齢も嘘だろ…という女性とねんごろになります。
そして自分の思い通りにならないと衝動的に殺して、アフターケアも嘘だろ…というほど雑。

そんなギャグにしかならないシチュエーションと残虐シーンのミスマッチに、他の映画では間違いなく容易に感じる事のできない、形容し難い何かを抱えながら映画に釘付けに。
映画史でも稀に見るクズ男に男から見ても不快さしかない!圧倒的な不快さ!
でも何をしてもダメなホンカにどこか肩入れしてしまう自分もいる。
そうして自分の中に潜む危うさに気付かされた瞬間が一番恐怖でした。

ヨナス・ダスラーさん名演!
普段は普通に20代イケメン!変身っぷり凄い!

この映画の後に他のファティ・アキン監督作品も観たんですが、不安定な人生を歩んできた人間が地に足着けて生きられるようになる作品が多いなと感じました。
そう思うとホンカの地に足の着け方はあまりにグニャッててとんでもない歩き方をしている。

でもちゃんと最後ホンカが成長するんですよ!
あんなに非モテ街道まっしぐらだったあのホンカが!
令和最初のクズ男が最後は不思議と可愛く見えてきてしまう快作です!








以上トップ10でした!

①屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
②リトルジョー
③ミッドナイトスワン
④ブルータルジャスティス
⑤スウィング・キッズ
⑥私をくいとめて
⑦デッド・ドント・ダイ
⑧レ・ミゼラブル
⑨ランボー ラスト・ブラッド
⑩サーホー


今年は特にハズレの映画が少なく、かなり充実した映画館ライフを送れました。
コロナ禍で海外作品が少なかったのもあるのか、邦画に良作が多かったです。
去年よりも鑑賞数増えましたが、まだ観たかったのに観れなかった作品も多数。
映画館で観れる時期は本当に貴重なので、逃さないようもっと計画的に動かないとですね。


では最後に悩んでトップ10漏れしたほぼ同着11位の作品を↓


アルプススタンドのはしの方

TENET

ウルフウォーカー

罪の声

羅小黒戦記

初恋

泣く子はいねぇが

タイトル、拒絶

シカゴ7裁判

無頼

青くて痛くて脆い

はちどり

恋するけだもの

ミッドサマー





来年も映画観続けます!


読んでいただきありがとうございました😌