大分空いてしまいましたが、昨年の雲ノ平登山記の続きです。
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朝。
昨晩の悪天候とは打って変わって、快晴が広がっています。
カメラと、ハイドレーションだけ持って、祖父岳(じいだけ)まで行ってみることにしました。
快晴。
ブッシュを割って進むと…
ラストワンマイル。
祖父岳の山頂。
息を飲みました。
雲が流れ出している。
雲海貯蔵庫から、雲がどんどん流れている。
凄い景色。
山頂には、10人位の方が居ました。
しばし談笑。
ある方は、1週間くらいの日程を組んで回っていらっしゃるとのことでした。
私「富山が実家なんです」
「なんて羨ましい!!」
その方は大阪から来られたとのこと。
小さい頃は、富山なんてどこにでもある田舎の一つくらいにしか思っていなかったのですが…
天気がいい日は、実家からも遠目に見える立山連峰の上に、秘境が存在しているのです。
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ゆっくりしたいところでしたが、
台風が迫っていたため、この日のうちに下山。
テント場に戻ります。
晴れて来た。
テント場は既に、私と、もう御一方のテントとの二つを残して、撤収されていました。
テントの片づけをしていたところ、
もう一つだけ残っていたテントの方に、声をかけられて、しばらく話し込みました。
お医者さんとのこと。
地元は全然違うところで、大学も九州だとか。
そこで知り合った奥様の地元が新潟ということで、一緒に移住されたとのことでした。
「奥さんに休み貰って来たんです。一週間くらい。」
うーむ、大変だなぁ…
でも、いいな。
「新潟に来てからは、山が近くていいですよ。」
富山大学の医学部で研修されていたこともあって、
その時には劔岳も登られたそうです。
「写真展開くことあったら教えてくださいね」
そう言ってくださって、連絡先を交換しました。
写真展…いつか、そんな日が来たらいいな。また旅が出来る日が来ますように。
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テントをたたんで、下山開始。
雲ノ平山荘を左手に。次回は泊まりたいな。
絶景かな。
素晴らしい世界。
日本に住んでいると、日本が美しいって感じることは多くありません。
街の、そして観光地の景観がとにかく汚くて…
イギリスでの1年の暮らしを経て日本に帰ってきてからの首都圏での暮らしは、
毎日、なんというか、陰鬱な気分になるものでした。
だから、山に登るのかな。
山の上には、海外の旅で息を呑んできた絶景に勝るとも劣らない素晴らしい世界が広がっています。
この美しい景観を守ってきてくれた、山に携わってきた富山のご先祖たちに感謝しながら、いつも歩いています。
雲ノ平山荘を遠めに拝んで
雲ノ平、また来るね。
ここから、太郎沢まで、昨日死にそうになった急登を下ります。
くだりもくだりで、滑らないように気を遣いますし、膝への負担もあるので、しんどかったです。
なんとか降りきった。
この辺りで、体調に異変が起こっていました。
登りになると、足が上がらない。
所謂シャリバテの状態。エネルギーが切れていたのでした。
通常3泊4日で往復するようなコースを、1泊で往復するような
無茶なコースに着いていけるほどの体力がなかったということです。
「まじか…今日中に降りないとなのに」
気力を振り絞っても、身体がついていかない。
休み休み、なんとか太郎小屋に辿り着きました。
ライチョウと休憩。
雲海が美しい
太郎小屋に着いたときには既に日が沈みかけていましたが、なんとしてもこの日中に下山しないと、
ということで、ベンチから立ち上がって、歩き始めました。
標準タイムだと、折立の駐車場まで2時間ほど。
でも、日の入りまでは1時間半を切っていました。
登りは歩みがとまりますが、くだりは大丈夫だったので、たまにある登りで一気にスローダウンしつつ、
駆けるように降りて行きました。
美しい夕陽を森の中で。こんな写真撮ってる場合ではないのですが笑
なんとか、完全に暗くなる前に下山することができました。
気力を振り絞って車に辿り着き、体を拭いて、家まで車を走らせました。
夜の北陸自動車道は、とても気持ちよかったです。
心地よい疲労感と、充実感。
次はどこに登ろうかな、あと早くビール飲みたい。
こんな気持ちを小脇に抱えてのドライブの時間。
山の帰りは、好きな時間の一つです。