DLのレビューを通じて、現在の高級コンパクトデジタルカメラ市場にとても興味が湧いてきました。
そこで、市場の勉強を兼ねて、製品のリスト化をすることにしました。
高級コンパクトデジタルカメラを"1インチ以上のセンサーを使ったレンズ一体型デジタルカメラ”と定義し、
・センサーのサイズ
・レンズのタイプ
でカテゴリー分けしたマトリックスを作ってみました。ご覧くださいませ。
Fig. 2016年4月13日現在の現行モデル例 (発売前製品を含む)
1. 全体の傾向
・1インチセンサーは主にズームカメラ、
・APS-Cまたはフルサイズセンサーは主に単焦点カメラ、
に使われています。1インチズームモデルは主にカメラの市場シェアが大きいメーカー、APS-Cまたはフルサイズの単焦点モデルは主に独自路線を歩むメーカーの製品展開が目立ちます。
2. 激戦区
・ 1インチセンサーの標準ズーム
・ 1インチセンサーの超高倍率ズーム
・ APS-C/フルサイズの準広角単焦点(28mm, 35mm)
このあたりに製品が密集しています。
3. 意欲作
・ SigmaはAPS-Cサイズセンサーを使った単焦点カメラを多数ラインアップしています(dpシリーズ)。特に21mm、45mm、75mmはSigma以外に製品展開が見られない焦点域です。
Nikon DL18-50 f/1.8-2.8は市場で初となる超広角域スタートのコンパクトデジタルカメラです。
・ Panasonic DMC-TX1は1インチセンサー搭載で10倍ズームにも関わらず300g程度の重量を実現したモデルです。
・ Panasonic DMC-CM10はアンドロイドベースのスマートフォンに1インチセンサーと28mm相当の単焦点レンズを搭載したモデルです(ただし旧モデルのCM1にはあった通話機能がカットされてしまっているようです)。
・ Canon G1Xは独自の1.5型センサー搭載した標準ズームカメラです。
・ Leica X Varioは市場で唯一のAPS-C以上のサイズのセンサーを搭載したズームコンパクトです。
4. 穴場
・ APS-C、フルサイズのズーム
・ 超広角ズームモデル
この辺りはまだまだ製品がまだまだ少ないです。また、
・ 望遠専用モデル
・ インチセンサーで85mm以上の焦点域でF値が2.8未満を達成しているカメラ
はまだ存在しません。1インチの望遠端はセンサーのピッチサイズの関係でかなり手ぶれにシビアなので、明るい望遠モデルがあれば重宝しそうなのですが(実際DSC-RX100M2のjpeg撮って出し画像を見ると、相当な画像処理による手ぶれ補正がかかっています)。
5. 雑感
激戦区がいくつかあって各社そこでしのぎを削っているという印象です。
コンパクトデジタルカメラの製品企画における自由度は高いように素人目線では思いますが、やはり売れる製品仕様は決まっているのでしょうか。
そんな中でも時折面白い製品があるので、今後突き抜けた製品が出てくることを期待しています。
(以前も書きましたが、EVF内蔵の100mm f1.2 mcr とかあったら本当に欲しいです)
中でもSigmaは本当に面白いと思いました。
NikonのCP+ 2016でのインタビューにおいて、DLシリーズのコンセプトについて「交換レンズを選ぶようにカメラを選んでほしい」 というコメントがありましたが、現状dpシリーズの方が余程そんなラインアップになっています。
6. 今後の展望
低価格帯のコンパクトデジタルカメラは急激に市場が縮小しているようです。
主にスマートフォンの技術革新/普及による低価格帯製品の浸食が原因で、各社1インチ以上のセンサーを使った高級コンパクトデジタルカメラにシフトせざるを得ない状況になっているように見受けられます。
今後どんどん1インチのモデルが出てくるのではないかと思います。
(実際、1インチの便利高倍率ズームPanasonic DMC-TX1はこれまでは1/1.7or2.3インチ程度のセンサーサイズのコンデジで見られたような仕様でした。)
しかし、ポジティブな目線で見てもこのマーケットは非常に面白いと思います。
うちの父親のような「仕事をリタイアしたら日本一周の旅がしたい。でも今更一眼レフは重くていやだな」というようなリタイアメント世代の需要、
若しくは私のような「もう撮る焦点域と被写体は大体決まっているから、ズームじゃなくて単焦点を使う代わりにセンサーサイズとサイズ・重量からは考えられないような性能を有したモデルが欲しい」というカメラユーザーの需要、
多くのカスタマーがターゲットになる可能性のある市場だと思います。
現状は型にはまった製品が多い印象ですが、今後が楽しみです。