晴天の霹靂でした。
脳梗塞になってから二年。言葉を発すること、体を動かすことができない状態でとてもつらかったことと思います。
不死身なあなたのことだからいつかふと起き上がってこられるのではないかと淡い期待をしておりました。残念です。
先週の旅行中ではなかったのが不幸中の幸いだったと一瞬思いましたが、でもきっと私の帰国まで待っていてくださったんですね。ありがとう。
穏やかなご表情を拝見したのは二年以上ぶりでした。棺に添えられた一張羅とトレードマークのハットに、ご健在だった時のお姿が鮮明に蘇りました。おばあちゃんが
「私の時は迎えにきてね。でもこれじゃああっちでもててしまうがやないけ」
と惚気るのも頷けるような大変な男前でした。
今回、初めてあなたの晩年の過ごし方を知りました。色々なところを旅行してまわられていたんですね。きっと私の旅好きはあなたの血です。
これからの人生、色々なところに行って、たくさんのことを見聞ききしてきます。私がそちらに行くまでにたくさんのお土産話を貯め込んでいきます。見守っていてください。
この二年間、床に臥しながら、色々なことを振り返ってらしたのでしょう。
事業を為した思い出、家族の思い出、色々な旅の思い出、すべてを振り返るのに二年かかったのでしょう。 すべて振り返ることができましたか。
私も話しきるのに二年以上かかるような実りある人生を送り、いづれあなたの元に向かいます。その時はあちらでまた盃を交わしましょう。焼酎の味、少しはわかるようになりましたよ。
最後にもう一度。
ありがとう。
孫より