ザンビア、ボツワナ、ジンバブエと駆け足で巡った一週間でした。
短期旅行が故に体力的にしんどい場面もありましたが、無事に楽しむことができて安堵しています。
旅の動機
一度サハラ以南のアフリカを歩いてみたい、と予てから思っていました。
今回巡った国ですが、ハイパーインフレで一躍日本でも名前が知れ渡ったジンバブエはともかくとして、ザンビア、ボツワナは殆ど馴染みがない国かもしれません。ザンビアやボツワナのみならず、アフリカには54の国がありますが、どの国も日本人にとって心理的にも物理的にも距離があると思います。
途中で巡り合った旅行者の方もおっしゃっていましたが、アフリカは日本人が他の地域に比べて極端に少なく、ヨーロッパや東南アジアと比較すると、その数は体感10分の1になるとのことでした。
日本で得られる情報が少ないのもそうですし、観光名所がいまいちピンとこない、日本から遠い、また治安面での不安がある、などといったことが要因なのでしょう。
そんなアフリカは一体どういったところなのか。
54の国があるアフリカですが、どれも個性のある国々ですし、「アフリカ」と一括りにするのは乱暴かもしれませんが、私はアフリカを「人類の諸問題が凝縮され、顕在化している」ところだと認識しています。
大航海時代以降、アフリカは凄まじい歴史を辿ってきました。
「奴隷貿易、収奪と殺戮」
「植民地支配」
に始まり、そして現代は
「民族、氏族、宗教問題に起因した戦争」
「東西冷戦の代理戦争の舞台」
「資源を巡る戦争」
「資源を巡る先進諸国による開発、政府の汚職と民衆の貧困、飢餓」
「伝染病、多くはHIV」
など、所謂"戦後"を経た1900年代後半以降も、現在進行形でアフリカには悲劇が連続しています。
日本に居る身からしたら、知れば知るほど異世界のように思えてくるような場所。そんなアフリカをこの目で見てみたかった。
それがアフリカに行きたいと思う一番のモチベーションでした。
周った国のこと。
ザンビア、ジンバブエ、そして特にボツワナは、アフリカ大陸の中でも比較的治安が悪くなく、風土病も少なく、経済的にも進展している地域です。一週間でも十分周れると確信して、航空券の申し込みを決めました。
たった一週間の短期旅行でこれでアフリカを見てやったぜなどとはついぞ思ってはいませんし、あくまでも最初の一回目というつもりですが、それでも、少しでも見、聞き、歩き、現地の人と話すことができて、今回の旅は満足のいくものになりました。
アフリカ屈指の優等生国家ボツワナですが、HIVの問題を抱え、前途は多難です。しかしボツワナ人が「ボツワナの未来は明るい」と力強く言っていたのが印象的でした。
ジンバブエは依然として独自通貨が流通しておらず、金融政策を行うことができない状況であり、また、87年以降政権の座にあり続けるムガベ大統領が2008年、国際世論の非難の中"非民主的な手法で"再選を果たしました。ボツワナ人が「アフリカで二番目にいい大統領だ」というムガベ氏の采配に注目したいと思います。
また、ザンビアは昨年大統領選挙があり、汚職にまみれていたという前政権からの交替がありました。ジャーナリズムと多党制が十分に機能した結果だと聞きます。そんなザンビアの今後にも注視をしていきたいと思います。
今回はサブサハラ・アフリカデビュー。これからもアフリカの色々な国々に時間の許す限り足を運んで、色々な地域を歩いてみたいと思います。 もっとアフリカの問題が凝縮された地域にも行ってみたいのですが、如何せん危なすぎるので…、焦らず少しずつ攻略していきたいと思います。
最後に、アフリカの学びにおいて頼りにしたエッセンスを紹介して、この旅行記を締めくくります。
参考文献
【ドキュメンタリー】
白戸 圭一 『ルポ資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄』、講談社
ロバート・ゲスト 『アフリカ 苦悩する大陸』、東洋経済新報社
松本 仁一 『アフリカ・レポート―壊れる国、生きる人々』、新潮新書
ナオミ・クライン 『ショック・ドクトリン(20章"災害アパルトヘイト")』、岩波書店
【ノンフィクション】
ダウド・ハリ 『ダルフールの通訳』、ランダムハウス
ワリス・ディリー 『砂漠の女ディリー』、草思社
服部 正也 『ルワンダ中央銀行総裁日記』、中公新書
【紀行文】
桃井 一馬 『観光コースでないアフリカ大陸西海岸』、高文研
那須 昭一 『ブラックアフリカをさるく』、書肆侃侃房
木村 重信 『カラハリ砂漠』、講談社