仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

フランスのChanson Populaire
 
2026年7月21日号

 

2026年7月17日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Dai Dai - Shakira

 2 Pilé - Mauvais djo

 3 Sexy Nana - Aya Nakamura & La Rvfleuze

 4 Maladie - Mauvais djo

 5 Melodrama - Disiz, Theodora

 6 Pineapple - Leto

 7 Pocahontas - PLK

 8 Jamaican(Bam Bam) - Hugel, Solto(FR)

 9 Nuevayol - Bad Bunny

 10 Dracula - Tame Impala

 

【アルバムチャート】

 1 Foreign Tongues - The Rolling Stones

 2 DeBÍ TiRAR MáS FOToS - Bad Bunny

 3 Confessions II - Madonna

 4 Le nord se souvient:L'Odyssée - Maître Gims

 5 Destinée - Aya Nakamura

 6 The Cat - Nono La Grinta

 7 Grand garçon - PLK

 8 Numéro d'écrou - La Rvfleuze

 9 Pyramide 2 - Werenoi

 10 Et si j'échoue - Bouss

 

 今週もシングルチャート1位はコロンビア出身のShakira(シャキーラ)がバーナ・ボーイ(Burna Boy)をフィーチャーした「Dai Dai」です。7月19日(現地時間)に行われたワールドカップ決勝戦のハーフタイム・ショーで一緒に出演していました。

 シングル10位にTame Impala(テーム・インパラ)の「Dracula(ドラキュラ)」が前週の11位から浮上。テーム・インパラは、オーストラリア・パース出身のKevin Parker(ケヴィン・パーカー)による、60年代のサイケデリック・ロックを現代によみがえらせようというサイケデリック・ミュージック・プロジェクトで、バンドとしてもライブ活動を行っています。

「Dracula」は2025年9月リリースの5枚目のアルバム「Deadbeat」の収録曲で、シングルではBLACKPINKの女性シンガー、JENNIE(ジェニー)をフィーチャーしています。アイルランドの作家Bram Stoker(ブラム・ストーカー)が生み出した世界的に有名なキャラクター「吸血鬼ドラキュラ」が、太陽の光を避けながらも愛する人をひたすら求め続けるというロマンティックなリリックが人気です。

 

The Rolling Stones

 今週のアルバムチャート1位はThe Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)です。7月10日リリースの約3年ぶりの14曲入りの新作「Foreign Tongues」は、UKでは25枚目のスタジオアルバムです。

 では、ストーンズについて私が知っているニ、三の事柄。彼らはフランスとは少なからぬ縁があります。フロントマンの今年82歳のMick Jagger(ミック・ジャガー)はフランスで結婚式を挙げ、UKの重い税金を嫌ってフランスに移住しロワール地方の古城に住んでいます。なお、彼の邸宅はロンドンのチェルシー地区や、島全体を個人所有するカリブ海の島にもあります。

 2022年に亡くなったヌーヴェルヴァーグの巨匠Jean-Luc Godard(ジャン=リュック・ゴダール)監督が1968年、五月革命直後に撮った映画『One Plus One(ワン・プラス・ワン)』は、ストーンズの「Sympathy for the Devil(悪魔を憐れむ歌)」のレコーディング風景と、過激な革命家のインタビューと、ヒトラー「わが闘争」の単調な朗読が、アンドレ・ブルトンの「自動筆記」のごとく何の脈絡もなく並行し、ラストは「悪魔を憐れむ歌」をBGMに革命のヒロイン役アンヌ・ヴィアゼムスキーが真っ赤に染められクレーンで宙吊りにされて終わります。そのシーンをめぐってさまざまな解釈が交錯しました。ゴダール監督がミュージシャンのレコーディングを撮るのは、1987年の『Soigne ta droite(右側に気をつけろ)』でもフランスのロックバンドLes Rita Mitsouko(レ・リタ・ミツコ)でやっています。どちらの映画も、ぜひご覧ください。

 

Ludovico Einaudi(ルドヴィコ・エイナウディ)


Ludovico Einaudi

 梅雨が明けて、暑い夏がやってきました。暑気払いにピアノソロをお聴きになられてはいかがでしょうか?

 熱波に苦しんでいるヨーロッパでいま、静かに聞かれているのが、イタリアのピアニストにして作曲家、Ludovico Einaudi(ルドヴィコ・エイナウディ)が2月27日に出した「Solo Piano」というアルバムです。フランスのSNEPクラシックチャートでは前週、このブログで何度もご紹介しているフランスの気鋭のピアニスト、Sofiane Pamart(ソフィアン・パマール)の「Movie」に次ぐ第2位でした。

 1955年11月、北イタリア、トリノ(Torino)生まれの70歳。父方の祖父はイタリア共和国大統領(1948~1955年)、母方の祖父はピアニストにしてオペラのコンダクター、父親は出版社の創業経営者という「華麗なる一族」のご出身です。オペラ『トスカ』『ラ・ボエーム』で知られる19世紀のプッチーニなど数多くの音楽家を輩出した名門ミラノ音楽院で学び、20世紀の現代音楽の巨匠として知られるLuciano Berio(ルチアーノ・ベリオ)に師事しました。

 主にピアノ演奏と作曲で活躍していますが、クラシックの枠内にとどまらず、現代音楽、ポップス、ロック、60~70年代に隆盛を極めたイージーリスニング、90年代のワールドミュージックなどから影響を受けている独特な作風で人気を得ています。

 特に映画のサウンドトラックでは、近年のフランス映画としては珍しく日本でも人気を得ていたオリヴィエ・ナカシュ/エリック・トレダノ監督の『Intouchables(最強のふたり)』(2011年)、フローリアン・ゼレール監督の『The Father(ファーザー)』、アカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督の『Nomadland(ノマドランド)』(2020年)など、近年の話題作を手がけています。日本映画でも是枝裕和監督『三度目の殺人』(2017年)のサウンドトラックは、この人の手によるものでした。

 さて、演奏者としてのルドヴィコ・エイナウディはとりわけピアノ独奏への評価が高く、絵のようなイメージが思い浮かぶきれいな旋律の「ミニマル・ミュージックの第一人者」と呼ばれています。環境音楽的な聴かれ方もされるためなのか「ニューエイジ」のジャンルに入っていることもあるようです。その代表作の「Nuvole Bianche」「Le Onde」「Experience」などを収録し、それに「Memory One」などの新作を加えて構成されたのが17曲入りの新作「Solo Piano」で、これはピアニストとしてのキャリアの集大成と言ってもいいかもしれません。

 イタリア政府の音楽大使でもあり、2026年前半は「Solo Piano Tour」で主にヨーロッパ各国を公演して回っていましたが、2025年の8年ぶりの来日公演は大阪でのみで実現し東京はキャンセルされました。お年がお年ではありますが、再び日本に来てくださったらいいですね。

 では、アルバム「Solo Piano」の収録曲から、2026年2月のミラノ・コルティナ冬季五輪の閉会式でピアノを弾いて披露していた「Experience」をお聴きください。少しは涼しくなれますでしょうか?

 

Ludovico Einaudi(ルドヴィコ・エイナウディ) - Experience(Official Visualizer)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!