仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

 
2024年4月16日号

 

2024年4月12日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Beautiful Things - Benson Boone

 2 Petit génie - Jungeli, Imen ES, Alonzo

 3 Ceux qu'on ètait - Pierre Garnier

 4 Temps en temps - Zola & Koba Lad

 5 The Sound Of Silence - Disturbed

 6 Texas Hold'Em - Beyoncé

 7 Position - Franglish

 8 Mami Wata - Gazo x Tiakola

 9 I Like The Way You Kiss Me - Artemas

 10 Lose Control - Teddy Swims

 

【アルバムチャート】

 1 Saudade - Green Montana

 2 Chambre 140 (Part.3) - PLK

 3 Pyramide - Werenoi

 4 Minisode 3:Tomorrow - Tomorrow x Together(TXT)

 5 Cowboy Carter - Beyoncé

 6 Les Enfoirés 2024, On a 35 ans! - Les Enfoirés

 7 Fireworks & Rollerblades - Benson Boone

 8 Décennie - JuL

 9 La route est longue - JuL

 10 Héritage - Dadju,Tayc

 

 シングルチャートの今週のトップ10は、前週と同じ顔ぶれで順位が入れ替わっただけでした。1位は引き続きBenson Boone(ベンソン・ブーン)の「Beautiful Things」です。

 

Tomorrow x Together 

 4位のTomorrow x Together略してTXTはBTSの弟分のような韓国の男子5人組。4月1日発売「Minisode 3:Tomorrow」は6枚目のミニアルバムです。収録曲「Déjà Vu」をシングル発売。7位にはアメリカ・ワシントン州出身の21歳のシンガーソングライター、ベンソン・ブーンの4月5日発売のファーストアルバム「Fireworks & Rollerblades」が入りました。

 8位、9位はフレンチラップのマルセイユの帝王JuLが直近リリースしたアルバム2作が再浮上。サッカーのリーグ・アン伝統の一戦「ル・クラスィク(Le Classique)」第2戦が4月1日にマルセイユで開催されたのと無関係ではないでしょう。結果はパリ・サンジェルマン(PSG)が連勝。4月1日の試合終了後、よせばいいのにPSGの選手が失意のマルセイユサポーターを挑発し、ヴェロドローム場内に罵声とゴミが飛び交いました。

 

Green Montana(グリーン・モンタナ)


Green Montana

 今週のSNEPアルバムチャート1位にGreen Montana(グリーン・モンタナ)の「Saudade(サウダーデ)」が登場しました。4月5日にリリースされた18曲入りの新作は3枚目のスタジオアルバムになります。タイトルはポルトガル語で「哀愁」とか「郷愁」という意味です。

 グリーン・モンタナというステージネームでカントリーシンガーと間違われそうですが、フランス語でラップしています。なお、NYで活動するモロッコ系アメリカ人ラッパーFrench Montana(フレンチ・モンタナ)とは、全く関係はありません。

 1993年6月、ベルギーのワロン地域(フランス語圏)のヴェルヴィエ(Verviers)で生まれた30歳。2015年に音楽活動を開始し、2018年に2曲入りのEP「Bleu Nuit」と「Orange Métallique」を出すとフランスの大物ラッパーBooba(ブーバ)の目にとまり、彼が運営するレーベルと契約。それ以来、師弟関係のようになっています。その人脈もあってIsha、SDM、Koba LaD、Old Pee、So La Lune、Kodesら若手、中堅のラッパーたちと次々にコラボ。ファーストアルバムは2020年の「Alaska」で、2022年にリリースした前作のセカンドアルバム「Nostalgia+」は、SNEPアルバムチャートで1位にのぼりつめました。

 フレンチラップはどちらかと言えばリリック重視の傾向が強いのですが、Green Montanaは曲づくりでフロウ(節回し、メロディー)も大切にしているのが特徴で、それは少年時代からフレンチポップス、ダフト・パンクのようなハウスミュージック、ビートルズやローリング・ストーンズなど英米のロックまで幅広く聴き込んできたことがベースにあるようです。PVではこだわりのアート志向の片鱗をみせる一方で、「ドラゴンボールZ」「ワンピース」など日本のアニメの影響も受けているらしいです。

 アルバム「Saudade」の収録曲から、同じBooba門下生のSDMをフィーチャーした「barcelona 92」をお聴きください。今週のシングルチャートでは12位にランクインしています。歌詞(Paroles)は32年前、1992年に開かれたバルセロナ五輪とは全く無関係で、有名ブランド名を羅列して「カネの亡者」ぶりをあおるリリック。それはそれで、俗っぽい個人的な出来事や感情を無秩序に吐き出しながら、現代社会への批判をしれっと織り込むという、フレンチラップの一つのスタイルです。

 

 Green Montana(グリーン・モンタナ)- barcelona 92 ft.SDM

 

では、また来週

À la semaine prochaine!