仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

 
2024年4月3日号

 

2024年3月29日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Beautiful Things - Benson Boone

 2 Ceux qu'on ètait - Pierre Garnier

 3 Petit génie - Jungeli, Imen ES, Alonzo

 4 Position - Franglish

 5 Mami Wata - Gazo x Tiakola

 6 Texas Hold'Em - Beyoncé

 7 I Love You - Dadju, Tayc

 8 Temps en temps - Zola & Koba Lad

 9 Lose Control - Teddy Swims

 10 Pyramide - Werenoi

 

【アルバムチャート】

 1 Les Enfoirés 2024, On a 35 ans! - Les Enfoirés

 2 Pyramide - Werenoi

 3 Chambre 140 (Part.3) - PLK

 4 We Don't Trust You - Future & Metro Boomin

 5 Eternal Sunshine - Ariana Grande

 6 Héritage - Dadju,Tayc

 7 LA MELO EST GANGX - Gazo x Tiakola

 8 La Symphonie des éclairs - Zaho de Sagazan

 9 Solsad - Zamdane

 10 La route est longue - JuL

 

 フランスでは4月1日が復活祭(今年は3月31日)翌日の月曜日で国民の休日(Lundi de Pâques)でした。SNEPはなぜか2日もお休みされて最新チャートの発表は4月3日になり、このブログの配信はいつもよりも2日遅れとなりました。

 シングルチャート1位、2位は前週と同じ。8位にZola & Koba Ladの「Temps en temps」が浮上しました。アルバム「Frères ennemis」収録曲でKoreをフィーチャーし1月12日にシングル発売。タイトルは「時々」という意味で、「時々、大麻を吸う(D'temps en temps, j'fume la beuh)」で始まり、歌詞はドラッグやセックスや悪事やカネのことばかり……。

 

Future & Metro Boomin

  アルバムチャート4位「We Don't Trust You」は、アメリカ・ジョージア州出身の40歳のラッパー、Future(フューチャー)と、セントルイス出身の30歳の音楽プロデューサー、Metro Boomin(メトロ・ブーミン)による3月20日発売のアルバム。メトロ・ブーミンは21 Savage(21サヴェージ)やBig Sean(ビッグ・ショーン)らとアルバムを制作しています。9位に3月5日号でご紹介したZamdane(ザムダン)の「Solsad」が再浮上しました。

 

Les Enfoirés 2024(レザンフォワレ 2024)

 

Les Enfoirés

 フランスで最も有名なチャリティ・イベントといえば「Les Enfoirés(レザンフォワレ)」でしょう。コメディアンのコリューシュ、ミュージシャンのジャン=ジャック・ゴールドマン、サッカー・フランス代表の「将軍」ことミシェル・プラティニらを発起人に1989年に第1回が開催され、35周年になる2024年は1月、ボルドー(Boadeaux)近郊のArkéa Arenaで開かれました。3月2日に2024年版公式のアルバムCD、DVDが発売され、そのアルバム「Les Enfoirés 2024, On a 35 ans!」は今週まで4週連続1位です。

 フランスの第一線のミュージシャンが舞台に立ち、歌や演奏やダンスだけでなくコミカルな寸劇もあります。コンサート入場料、TF1のテレビ放送、CD、DVD販売、ネット配信、スポンサーから得た収益はコリューシュが設立した生活困窮者に食事を提供する団体「Les Restos de Cœur(心のレストラン)」に寄付されます。日本の某テレビ局が8月に放送するチャリティ番組とは大違いで出演者はノーギャラ貫徹ですが、オファーがくれば「一流の証明」になりキャリアにハクがつくといいます。とはいえジャンルは「フレンチポップス」方面の人たちが主体で、ロック勢、ヒップホップ勢は出演しないことはありませんが、少数です。ゲストとしてサッカーのベンゼマ選手やエムバペ選手が来た年もありました。

 アルバム「Les Enfoirés 2024, On a 35 ans!」のオープニングチューンは若手のBigflo & Oli兄弟と41歳のJulien Doré(ジュリアン・ドレ)による「Coup de vieux」。26曲のラインナップはミレイユ・マチュー(Mireille Mathieu)の「Une histoire d'amour」(映画『ある愛の詩』のテーマ/1971年)や、前週ご紹介したミシェル・サルドゥ(Michel Sardou)の「Le France」(客船フランス号/1975年)のようななつかしいナンバーをはじめ、ロックミュージカル「Starmania(スターマニア)」からDaniel Balavoine(ダニエル・バラヴォワーヌ)が歌った「Quand on arrive en ville」、フローラン・パニー(Florent Pagny)の2000年のヒット曲「Et un jour, une femme」、さらにはすでに故人のDalida(ダリダ)、Johnny Hallyday(ジョニー・アリディ)、Charles Aznavour(シャルル・アズナヴール)の有名曲や、2023年のSNEP年間シングルチャート1位のMiley Cyrus(マイリー・サイラス)「Flowers」まで、さまざまな曲が出演者によって歌われ、アルバムに収録されています。

 エンディングは毎回お約束で、ジャン=ジャック・ゴールドマン(Jean-Jacques Goldman)がLes Enfoirésのために作曲した「La chanson des restos」を、出演者全員が合唱して締めます。

 今回はアルバム2曲目、Ycareが作詞、Patrick Bruelが作曲、Mathieu Mendèsが編曲したオリジナル曲で、1月15日に35周年記念賛歌としてシングルリリースされた「Jusqu'au dernier」をお聴きください。「最後まで」というタイトルが示すのは寄付先のLes Restos de Cœur(心のレストラン)がいま、戦争と世界的なインフレによる小麦などの食材価格、天然ガスなどのエネルギー価格の高騰に直撃され、存続の危機に陥っていることです。だから歌詞(paroles)では「On reste jusqu'au dernier」(われわれは最後まで生き残るぞ)と、繰り返しています。

 

Les Enfoirés 2024(レザンフォワレ 2024) - Jusqu'au dernier (Clip officiel)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!