仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

 
2024年3月5日号

 

2024年3月1日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Ceux qu'on ètait - Pierre Garnier

 2 Pyramide - Werenoi

 3 Petit génie - Jungeli, Imen ES, Alonzo

 4 I Love You - Dadju, Tayc

 5 Beautiful Things - Benson Boone

 6 Maudit - Werenoi

 7 Lose Control - Teddy Swims

 8 Si No Estás - Iñigo Quintero

 9 Mami wata - Gazo x Tiakola

 10 Dolce Camara - Booba

 

【アルバムチャート】

 1 Pyramide - Werenoi

 2 Chambre 140 (Part.3) - PLK

 3 Solsad - Zamdane

 4 Héritage - Dadju,Tayc

 5 Bon courage - Kalash Criminel

 6 7 - Elsa Esnoult

 7 La Symphonie des éclairs - Zaho de Sagazan

 8 AD VITAM ÆTERNAM - Booba

 9 Johnny 71 - Johnny Hallyday

 10 La route est longue - JuL

 

 今週のシングルチャート1位に「スター・アカデミー」優勝曲の「Ceux qu'on ètait」が復帰。5位「Beautiful Things」のBenson Boone(ベンソン・ブーン)はアメリカ北西海岸・ワシントン州出身の21歳のシンガーソングライター。この曲はビルボード全米チャートで最高3位です。7位「Lose Control」のTeddy Swims(テディ・スウィムズ)はアメリカ・アトランタ出身の31歳のR&Bシンガーソングライター。ソウルやポップス、カントリーの要素も融合させた曲をつくっています。「Lose Control」はビルボード全米チャート最高2位。Iñigo Quintero(イニーゴ・キンテロ)の「Si No Estás」が8位に再浮上しました。おかえりアミーゴ。

 今週のアルバムチャート1位は前週2位のWeewnoi(ウェルノワ)の「Pyramide」でした。前週1位のDadju,Taycの「Héritage」は4位に後退しています。

 

Kalash Criminel

 ザイール(現・コンゴ民主共和国)生まれの28歳の覆面ラッパー、Kalash Criminel(カラシュ・クリミネル)の2月23日発売「Bon courage」が今週アルバム5位に登場。2022年2月8日号で軽くご紹介しましたが、覆面をするのは遺伝性疾患のアルビノだからで、タイトルは「がんばれ」という意味です。何をがんばるのでしょう?

 6位のElsa Esnoult(エルザ・エスヌルト)は2021年3月2日号でくわしくご紹介したヌイイ=シュル=セーヌ生まれ、パリ16区育ちのお嬢様シンガーで34歳。2月23日リリース「7」はその名の通り7枚目のスタジオアルバムで「6」以来1年半ぶり。死せるジョニー・アリディ、生けるファンを走らせ2月23日に出た「Johnny 71」は今週アルバム9位。なお、次週アルバムチャートには3月2日発売の「Les Enfoirés 2024, On a 35 ans!」が入りそうですが、35周年の今回も初登場1位でしょうか?

 

Zamdane(ザムダン)


Zamdane

 2月22日リリースのアルバム「Solsad」が今週3位に初登場のZamdane(ザムダン)はマルセイユを本拠地とする26歳のラッパーですが、生まれたのはモロッコの古都マラケシュ(Marrakech)です。18歳でフランスに渡り、ヒップホップグループ「Shinobi Squad」に加入して人気を得て、後にソロデビューしました。2022年2月、マルセイユ・コネクションのSoso ManesやDinosらの協力を得た「Couleur de ma peine」でアルバムデビュー。直後の2022年3月8日号で彼のことをくわしくご紹介しています。

「Solsad」は2年ぶり2枚目のスタジオアルバムになります。相変わらず、ナイーブな感性のもと「心の痛み」「不安な未来」「喪失感」といった、どちらかと言えば内向的で暗いテーマをラップするスタイルが持ち味。解説によると新作アルバムのタイトルには「soleils tristes(悲しい太陽)」という意味が込められているそうです。solはフランス語のsoleil(太陽)の略。sad(悲しい)は英語で、フランス語ではtristeです。

 その収録曲から2月にシングルリリースされた「Mélancolie criminelle」(拙訳:犯罪的な憂鬱)をお聴きください。ピアノの伴奏は直近では2023年10月31日号でご紹介したソフィアン・パマート(パマール/Sofiane Pamart)です。SNEPクラシックチャートで首位を独走するこの俊英ネオクラシカル・ピアニストの演奏が、「Car ma mélancolie est criminelle. J'souffre, et j'demande aucune aide, j'pleure et j'plante un Opinel (拙訳:私の憂鬱は犯罪ゆえに、私は苦しむ。私は何の助けも求めない。私は泣き、オピネルを植える)」とザムダンがラップする陰鬱なリリック(Paroles)に、ピタリとはまっています。

※Opinel(オピネル)は南フランス・サヴォワ地方産の折りたたみ式ナイフのブランドなのですが、最初の3文字が同じのアヘン(Opium)を採取できるケシを示す隠語になっています。中国の清朝と英国の間で起きたアヘン戦争で有名なアヘンは麻酔薬や鎮痛剤の原料になりますが、日本でアヘンがとれるケシを厚生労働大臣の許可なく植えて栽培したら、逮捕されます。

 

Zamdane(ザムダン) - Mélancolie criminelle (Piano by Sofiane Pamart)

 

では、また来週

À la semaine prochaine!