
2023年9月8日付 SNEPシングル&アルバムチャート
※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)
【シングルチャート】
1 Meridian - Dave/Tiakola
2 Casanova - Soolking
3 Saiyan - Heuss L'Enfoiré & Gazo
4 Petit génie - Jungeli, Imen ES, Alonzo
5 Paint the Town Red - Doja Cat
6 Bolide allemand - SDM
7 Meuda - Tiakola
8 Special - Dave/Tiakola
9 Tattoo - Loreen
10 Dance The Night (From Barbie The Album) - Dua Lipa
【アルバムチャート】
1 2 Bis - Florent Pagny
2 Cœur parapluie - Hoshi
3 NI - Ninho
4 C'est quand qu'il s'éteint? - JuL
5 Carré - Werenoi
6 Mélo - Tiakola
7 Barbie (Bande originale du film) - Divers
8 Utopia - Travis Scott
9 KMT - Gazo
10 Liens du 100 - SDM
今週もシングルチャート1位はDave/Tiakolaの「Meridian」でした。27歳のアメリカの女性ラッパーDoja Cat(ドージャ・キャット)の「Paint the Town Red」が5位に浮上。2022年にエルヴィス・プレスリーの伝記映画『エルヴィス』の劇中歌「Vegas」をヒットさせました。
シングル4位「Petit génie(小さな天才)」を先輩ラッパーのImen ES(イメン・エス)、Alonzo(アロンゾ)とコラボしているJungeli(ユンゲリ)は、今年7月シングル「A moi」でデビューしたアフロポップ期待の新人です。
季節が変わって新しい風が吹きます。アルバム1位、2位に、ともに9月1日発売のアルバムがチャートインしました。1位は前号でくわしくご紹介した大御所フローラン・パニーの「2 Bis」で、2位は「フランスのローソンクルー♪あきこ」のHoshi(ホシ)。続いてくわしく。
Hoshi(ホシ)
今週、アルバム2位に9月1日リリースのニューアルバム「Cœur parapluie」が入った26歳のHoshi(ホシ)は、2020年5月26日号で触れていますが、その後、フレンチポップスの若手女性シンガーソングライターとして音楽活動の実績を積み、日本の超人気アニメ『ワンピース』に関係した仕事もやっていますので、改めてくわしくご紹介します。
ステージネームのHoshiは日本語の「星」(フランス語ではétoile)に由来します。日本語が起源なので、このブログでは「オシ」ではなく「ホシ」と表記いたします。本名はMathilde Gerner(マティルドゥ・ジェルネール)といい、1996年9月14日生まれなのでもうすぐ27歳。生まれたのは王城の地、イヴリーヌ(Yvelines/78)県ヴェルサイユ(Versailles)で、同県のモンティニー=ル=ブルトンヌー(Montigny-le-Bretonneux)で育ちました。6歳でピアノ、15歳でギターを始めたといいますから、音楽の環境には恵まれていたようです。
アマチュアバンドに加わり、まず地元の市役所で楽器を演奏していました。フランスの市役所には「駅ピアノ」ならぬ「市役所ピアノ」がよく置いてあり、そこでは結婚式や「PACS(民事連帯契約)カップルの契約後セレモニー」が行われたりもします。モンティニー=ル=ブルトンヌーの市役所には芸術に理解のある職員がいて、まだ高校生だった彼女に「君には才能がある。プロになれ」と、しきりに勧めていたそうです。
バンドが2012年に解散すると、日本のアニメが大好きなので「Hideko Hoshi(星秀子)」と名乗って曲を書き10代でソロ活動を始めます。18歳の時、前号でご紹介したフローラン・パニーが審査員を務め、数多くのフレンチポップスのミュージシャンを輩出したTF1のオーディション番組「The Voice」の予選は通過しましたが、なぜか本選は自分から辞退しました。その後は高校を中退して、デビュー前のZAZ(ザーズ)のようにパリやヴェルサイユのストリートで歌って観光客から「おひねり」をもらったりしていましたが、2016年にレーベルのマネージャーに見出されてプロ契約を結びました。
2017年3月、ファーストシングル「Comment je va fait」でメジャーデビューを果たしますが最高91位。しかし翌2018年11月にリリースしたファーストアルバム「Il suffit d'y croire」(最高9位)とシングル「Ta marinière」(最高9位)のヒットで、フランスのポップシーンで俄然注目されます。2019年のシングル「Amour censure」は最高15位、それを収録した2020年のセカンドアルバム「Sommeil levant」は最高7位になり、Hoshiはフレンチポップスの第一線アーティストの地位を確立しました。「不思議ちゃん」っぽいルックスをしながら、シンプルでも毒をはらんだ歌詞のポップスを独特なハスキーヴォイスで歌うアンビバレント(ambivalent)な魅力があるのでしょうか? 2021年には3枚目のアルバム「Étoile flippante」を出し、ベテランのバンジャマン・ビオレとコラボした曲も収録されています。
2022年8月、7曲入りのミニアルバム「Les Chansons d'Uta」をリリースしましたが、これはフランスでも公開された日本のアニメ映画『ONE PIECE FILM RED』で「世界を歌で幸せにしたい」と豪語するシャンクスの娘「ウタ」が歌う曲のカヴァー集という企画物で、「Nouvelle ère(新時代)」「Je suis la plus forte(私は最強)」などの曲が収録されています。Hoshiのフランス語の歌は、Adoさんとはまた違った風味が楽しめるでしょう。
本人は「メニエール症候群」という病気で飛行機に長時間乗れないため、大好きな日本に行けないそうですが、こんな形で日本の超人気アニメに関わることができて、よかったですね。
さて、新作「Cœur parapluie」は4枚目のスタジオアルバムで、収録曲では今は亡き70年代のポップスター、ジャック・イジュラン(Jacques Higelin)の娘の女性ロックシンガー、イジア(Izïa)や、著名なシンガーソングライターのカロジェロ(Calogero)ともコラボレーションしています。このアルバムのオープニングチューンで、夏に「Je partirai」(私は旅立つだろう)とともにシングル発売された「Mauvais rêve」(悪夢)をお聴きください。ヒップホップに挑戦して、レパートリーをひろげています。
Hoshi(ホシ) - Mauvais rêve (Clip Officiel)
おまけ
Hoshi(ホシ) - Je suis la plus forte(私は最強)
注:このブログは、ウェブサイト上に掲載されたプロフィールやディスコグラフィー、曲やアルバムの紹介記事、インタビュー記事など(そのほとんどがフランス語)を参考にして書いていますが、原典によって記述が微妙に食い違っているケースがあります。
では、また来週
À la semaine prochaine!

