仏蘭西歌謡曲
Chanson Populaire en France

 
2022年8月2日号

 

2022年7月29日付 SNEPシングル&アルバムチャート

※SNEP:Syndicat national de l'édition phonographique(フランス全国音楽出版組合)

 

【シングルチャート】

 1 Fade up - Zeg P

 2 Tout va bien - Alonzo

 3 Calm down - Rema

 4 Chop (Nouvelle école) - Fresh

 5 Balader - Soolking

 6 As It Was - Harry Styles

 7 Suavemente - Soolking

 8 J'ai tout su - JuL

 9 Clic Clic Pan Pan - Yanns

 10 Rappel - Gazo

 

【アルバムチャート】

 1 KMT - Gazo

 2 Extraterrestre - JuL

 3 Mélo - Tiakola

 4 Les autres c'est nous - Bigflo & Oli

 5 Sans visa - Soolking

 6 Mercury - Acts 1 & 2 - Imagine Dragons

 7 Diamant - Keen'V

 8 Civilisation - Orelsan

 9 Jefe - Ninho

 10 Harry's House - Harry Styles

 

 今週のシングルチャート1~10位、アルバムチャート1~9位は顔ぶれが前週とまったく同じで、順位が入れ替わっただけ。アルバム10位もHarry Stylesの再浮上です。フランスはいま夏のバカンスシーズンたけなわでニューリリースがほとんどなく、チャートは夏枯れ状態。その中での数少ない上位ニューエントリーが、シングル11位の英国ロンドン生まれの24歳のラッパーCentral Ceeの「Doja」と、アルバム17位のJean-Louis Aubertの「Olo tour」です。

 

Jean-Louis Aubert

  Jean-Louis Aubert(ジャン=ルイ・オベール)はかつてTéléphone(テレフォーヌ)というロックバンドにいたギタリストにしてフロントマン。67歳の超ベテランです。Téléphoneについては2020年6月2日号で、Jean-Louis Aubert個人については2021年5月4日号でくわしくご紹介しています。

 

【小特集】 L'été, c'est pour les souvenirs  夏、それは思い出のために 

 

 今回は特別に、いつものようなチャートから選び出すアーティスト解説をお休みし、「真夏の小特集」として60~70年代のフランス映画の劇中歌から「夏の曲」を3曲、ご紹介します。夏と言っても太陽ギラギラの夏の日を描写したような曲ではなく、後で「夏の日を思い出して……」という情景に似合う曲を選びました。

 

●シャルル・アズナヴール(Charles Aznavour)「八月のパリ(Paris au mois d'août)」 

ピエール・グラニエ・ドフェール監督『八月のパリ(Paris au mois d'août)』(1966年)より

  映画は、AZ演じるパリ1区の老舗デパート「ラ・サマリテーヌ」に勤める中年男が8月、妻子をバカンスに行かせ、人がいないガラガラのパリの街に一人残ったところに現れる英国人女性と「ひと夏の恋」におちるロマンティック・コメディで、曲は9月になってからそれを回想するという内容。オケはポール・モーリア指揮。
 

Charles Aznavour(シャルル・アズナヴール)- Paris au mois d'août(八月のパリ) Orchestre sous la direction de Paul Mauriat

 

●アンナ・カリーナ(Anna Karina)「太陽の真下で(Sous le soleil exactement)」 

ピエール・コラルニック監督『アンナ(Anna)』(1966年)より

  ご存知、ヌーヴェルヴァーグ、ゴダール作品のミューズ、アンナ・カリーナ。『アンナ』は彼女が主演したパリを舞台とするミュージカル映画で、名優ジャン=クロード・ブリアリ、ミック・ジャガーの元カノのマリアンヌ・フェイスフルと共演しています。作詞・作曲はセルジュ・ゲンズブール。


Anna Karina(アンナ・カリーナ) - Sous le soleil exactement(太陽の真下で) Bande originale de la comédie musicale télévisée "Anna"

 

●ロミー・シュナイダー(Romy Schneider)「エレーヌの歌(La chanson d'Hélène)」 

クロード・ソーテ監督『すぎ去りし日の……(Les choses de la vie)』(1970年)より

  夏の終わりを感じさせるような哀愁の漂う歌声を披露するのは、オーストリア・ウィーン生まれでアラン・ドロンの元婚約者、ロミー・シュナイダー。ドイツ、フランス、アメリカで数多くの映画に出演した名女優ですが1982年、43歳の若さで世を去りました。曲の中の男性のセリフはこの映画で共演したミシェル・ピコリ。

※8月5日~25日、東京・渋谷のBunkamuraル・シネマで「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が開催されますが、残念ながら『すぎ去りし日の……』は上映されません。 映画祭公式サイト↓

 

Romy Schneider(ロミー・シュナイダー) & Michel Piccoli(ミシェル・ピコリ)- La chanson d'Hélène(エレーヌの歌)

 

 

   誰にでも、夏の日の思い出はある。

   たとえ遠い遠い記憶でも、

   夏は、それを思い出すためにある。

 

 

では、また来週

À la semaine prochaine!