(マイコミより引用)
米国の人気ドラマシリーズに「24」というのがある。って、だいたい皆さん観てますよね? テロ対策ユニット(CTU)に所属する捜査官ジャック・バウアーが、24時間テロリストと闘って右往左往する物語である。すでに5作ほど制作されているが、その3作目「Season 3」では、新種のウィルスによる生物化学テロの脅威が描かれている。で、前半の2話目あたりで、大統領が恋人でもある医師に、生物化学テロが実行された場合に想定しうる被害について意見を求めるシーンがある。うろおぼえだが、医師の答えはだいたい以下のような主旨のものだったと思う。
「このウィルスは新種の肺炎ウィルスで感染力が極めて強く、発病するとまず助からりません」
この場面では、大統領は彼女に、テロに対抗するための「専門家」としての見解を求めているはずである。にも関わらず、残念ながら彼女の答えは極めて曖昧。なぜならば、そこには「量的な側面への注目」も、「量的な記述・分析」も無いからである。つまり、彼女は新種のウィルスに対して「定性的な」評価しか行っていないのだ。
ここで、皆さんに大統領の立場になって考えてもらいたい。数億の国民をテロの脅威から救うために、極めてシビアな判断を下さねばならない立場だ。さて、彼女から得た情報をもとに、一体どんな判断が下せるだろうか。「なんだかわからないが、感染力が強くて致死率も高いウィルスがバラまかれるかもしれないので危険かもしれない」みたいな情報では、何の役にも立たないことがわかるだろう。
まあ、彼女にとっても未知のウィルスだっただろうから、的を射た回答ができなかったのは仕方がない。では、もしも彼女がこのウィルスに対して充分な知識を持っていたとしたら、どのように回答するのが望ましいだろうか。おそらく、こんな答えになるのではないか。
「○グラムのウィルスがまかれたとしたら、その後○時間以内に○○万人が感染、○時間以内に感染者のうち○%が発症する可能性が○%あります。発症した人のうち○%が○度以上の高熱を出し、○%が○日以内に死亡するでしょう。」
このように明確な数値があれば、大統領は様々な判断が可能になる。ウィルスが致命的に危険なものならば、ターゲットになりそうな都市に緊急避難命令を出すこともできるし、万一ウィルスの拡散が防げなくとも、ワクチンを何日で用意できれば何人助けられる、という目算が立つ。これは、企業の情報システムでも同じである。もしあなたが企業のシステム担当者なら、経営者から意見を求められる場面では、可能な限り「定量的な記述」で答えるべきだ。