映画三昧 #2005 ⭐️⭐️* 夜霧の恋人たち(68) | juntana325 趣味三昧

juntana325 趣味三昧

自分の興味のあることを、自分本位に勝手に解釈するブログです。


フランソワ・トリュフォー、クロード・ド・ジヴレー、ベルナール・ルボンの三人になるオリジナル・シナリオを「黒衣の花嫁」のフランソワ・トリュフォーが監督した、「大人は判ってくれない」「二十歳の恋」と一連のもの。撮影はデニス・クレルヴァル、音楽はアントワーヌ・デュアメルが担当。出演は「男性・女性」のジャン・ピエール・レオ、「去年マリエンバートで」のデルフィーヌ・セイリグ、新星クロード・ジャド、他にミシェル・ロンダールなど。




「二十歳の恋」の続き。主演はジャン・ピエール・レオ。失恋から軍隊に入隊しているところから始まる。軍服姿が似合わないドワネルは、前作2作からすると、かなりコミカルな印象だ。それに、テンポも良く、前作までの重苦しい雰囲気はない。彼はまた、クリスティーナという女性に心惹かれる。


しかし、人間進歩するもので、今までのような闇雲なアタックはしない。それでも、随所に空気の読めない行動もするが、前回よりもマシだ。それより、軍隊を不名誉除隊したから、職がない。ホテルの夜勤は、1日でクビ、そして、不向きに違いない探偵になる。尾行は下手だし、依頼人の妻と不倫する、何とも冴えないコミカルな探偵だ。クリスティーナとも上手く進んでいないし、ドワネルの人生はどこに行くのか?




そんな思いで観ていると、今度は出張修理工になる。なった途端に、自動車事故。またまた不安な出だし。クリスティーナは、テレビを壊しドワネルを呼ぶ。ここからのハッピーエンドの行は、心の底から、幸福な気持ちにしてくれる。ドワネルの子供の頃から3本立てで観たので、彼を誰よりも知っている気にさせる。


ダイニングで朝食を食べる二人。言葉で言いにくいと、紙に書いて交換する二人。本当に幸せいっぱいだ。どんな理由か分からないが、人は思いもよらないところで、探偵のターゲットになったりする。ラスト、不審な男がクリスティーナに近寄ってくる。てっきり探偵かと思ったが、クリスティーナのストーカーだった。探偵同様、人はいつ誰に惚れられるか分からない。面白い結末だ。




この後、シリーズは、ドワネルが結婚する話につながっていく。このドワネル役のレオは、まさにヌーヴェルバーグの寵児だ。ゴダールとトリュフォーの仲違いしていた巨匠に重宝されたわけだから、フランスが生んだ大俳優と言っても過言ではないだろう。しかし、なにが代表作かと問われると、どれも似たようなキャラクターで、優劣つけがたい。そう考えると、「大人は判ってくれない」の一途な少年の姿が頭に浮かぶ。近年ではカウリスマキの作品にも顔を出したりして、まだまだ現役なのは嬉しいかぎりだ。