映画三昧 #1771 ⭐︎⭐︎* ハロルドとリリアン ハリウッド・ラブストーリー(15) | juntana325 趣味三昧

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1950年代から2000年代まで、数多くのハリウッド作品で絵コンテと映画リサーチを担当した職人夫婦を描いたドキュメンタリー。セシル・B・デミル監督の「十戒」、アルフレッド・ヒッチコック監督の「」など100本以上の作品で絵コンテを手がけたハロルド・マイケルソン。そして映画リサーチャーとして活躍した妻のリリアン。本作では2人が関わった作品の絵コンテ、名シーンの数々、ヒッチコックやマイク・ニコルズらと名匠と現場をともにする2人の姿、2人と交流のあったフランシス・フォード・コッポラ、ダニー・デビート、メル・ブルックスらのインタビュー、リリアンによる夫ハロルドの回想などから、映画に愛され、映画を愛した2人の思いや夫婦の心温まるエピソードが綴られていく。


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主人公の二人は、ただ者ではない。映画に対する認識が、ガラッと変わった。絵コンテと言えば、黒澤明の名前がすぐに浮かぶ。綿密な絵コンテで、イメージを膨らませて、それをフィルムに収めた。監督という演出家にとって、アイディアを生む方法は、色々あると思うが、黒澤明のように絵心がある人には、最適のような気がする。


そんな綿密な絵コンテを仕込むなんて、黒澤明くらいしかいないのだろうと思っていたら、ハリウッドにもいた。ハロルドはその専門家だ。彼の手から、映画史上の名場面が生まれていたとは今日まで知らなかった。彼の場合は、予算など、監督の要望も含め、それを絵コンテにしていく。まるで、万能の神様のような人だ。


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「卒業」のアン・バンクロフトの足の隙間から、ダスティン・ホフマンが映る「あの名シーン」も、「十戒」の海が割れるシーンも、みんなハロルドの手によるものだ。ハリウッドになくてはならない職業たらしめた人かもしれない。


一方、その妻のリリアンも、映画界になくてはならない職業の達人。日本にも同じようなリサーチャーに近い職業がある。しかし、それは表に出てこない。監修というクレジットはあるが、その裏方となると、不明だ。


この二人の活躍は、映画に新たな可能性を感じる。様々な才能が、一つになって映画は完成する。映画に関係ないような才能が、もしかしたら映画の新しい可能性の扉を開くかもしれない。だから、映画は面白くなるためだけに、発展するのだろう。目から鱗の一本だった。


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