映画三昧 322 孤独な天使たち(12)⭐⭐♡ | juntana325 趣味三昧

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巨匠ベルナルド・ベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)以来およそ9年ぶりとなる監督作。「ぼくは怖くない」の原作者としても知られるニコロ・アンマニーティの同名小説が原作。ベルトルッチ監督が、およそ30年ぶりに母国語であるイタリア語で撮り上げた作品。

主人公の少年ロレンツォは、思春期の少年。ちょっとした親への反抗を試みる。彼は、恐らく、おりに閉じ込められたペットのように自分をさげすんでいるのだろう。そのやり場のない怒りや憤りが、スクリーンから伝わる。これだと存外、珍しい話ではない。

そこに、麻薬中毒の義姉オリヴィエが入り込んでくる。すると、展開は一変する。ロレンツォの思春期の悩みは、オリヴィエの人生へと興味が移る。象徴的なアリの観察には、全く興味はなくなり、オリヴィエの行く末が気になって仕方がない。親とは違う身内、同志、兄弟、そんな複雑な思いが、ロレンツォの中で交錯する。

ラストの少年の顔には、清々しさが漂う。ベルトリッチにとって、最後かもしれないこの作品に、大河ドラマのようなものでなく、若い姉弟の心の触れ合いを選んだのは、興味深い。