引っ越しその2 | 木下順介オフィシャルブログ「東京火の玉キッス」by Ameba

引っ越しその2

さて、大家さんとも契約を交わし鍵も貰い、いろいろ具体的にどう引っ越ししようかとか思いつつ台所を見たら、

飲みかけの紅茶、

お湯の入ったままのポット、

など、棚には今でもそこに人が居るかのような状態。内見したときと何ら変わらない状況で、居間にも普通にいろいろあるし、今日契約してその後すぐに全部片付けるんだろうな、とか思っていたら、

私が帰る時に大家さんも普通に帰宅。

あれっ、ここに残ってるこういうのはどうするのですか?

と聞いたら、

「ジュンスケは紅茶きらいなの」

とか言い始める大家さん。

「いやいや、好きとか嫌いとかじゃなくて、片付けようよ、そのままってのは人としてどうかと思うよ」、

とか思いつつも、当たり前の様に帰ろうとしてるので、仲介の不動産屋も巻き込み、いつ掃除するのかの交渉。すると

水曜日に契約してるのに、次は日曜日にならないとここに来れないと主張する大家さん。

だったら日曜にしとけよ契約日、

とか思いつつそれを私が主張したら、今度は不動産屋がもう一回煩雑な契約書を書くのが面倒くさいと言い始め、にっちもさっちも行かない状態。怠け者かつ自分勝手なロシア人達のこういう部分を相手にしていても仕方ないので、

私が全部自分で片付けるから、何が必要か言って下さい、

と言えば、好きにして良いとか言う大家さん。じゃあ、私が不必要なこのソフアを絶対に日曜日に片付けてくれ、と念を押し解散。

私は待ってられないのでガンガン片付けと引っ越しを進めることに。

引っ越しと言っても、幸い美術館を挟んでとなりのマンションなので、テクテク、コツコツ何度も往復しながら物を移動。

もともと物が少ない私、しかも東京の時のように本も無いし、極めてスイスイと物の移動は進みどんどん新居が私好みに。日曜日に極真のヨーロッパ大会の応援から帰宅後、新居に行ってみたらきちんとソフアが片付けられていて、ほっとひと安心。

しかし台所はそのまま!

即効大家さんに電話し、

「台所の紅茶はどうするんだ」

と紅茶が嫌いなのかと言われた仕返しに聞いてみる。すると、

「ピーチ、ピーチ、」

と言っている。そう、飲んで良いよ、と言ってるのだが、カップもそのままだし、じゃあ、解かりました好きにします、と言って本当に私の好きな様にいらないものを、というか全部即効廃棄。

筆記体のロシア語で殴り書きのように契約書に書かれてある『捨ててはいけない物のリスト』を日本公演に向けてピアノ練習中の華音にわざわざ一個一個教えてもらって確認し、そこに載ってなくてそのままほったらかしにしてあるものをまとめてしまい込む事から開始。日本じゃ全く考えられない事ですが、

飲みかけのマグカップやポットにお湯の入ったままの状態で人に部屋を貸す、

というロシア的な段取りを面白く受け止めながらも、こういう緩さがあるからそれはそれでその隙間で日本人のメンタリテイの活躍場所があるんだな、とか思いつつ片付け。

そんなわけで、ガンガン掃除しつつ物を移動し、絶対に私独りでは運べない大物のみを残す事に。

どうしたもんだかと思案してみましたが、そんな場合、ここロシアでは使える物は何でも使う、という思想パターンなので、自分が思いあたるありとあらゆる知り合いに連絡をしまくります。もちろんお金を払うというような概念は皆無であり、頼まれたほうも普通に来て普通に手伝うのもこれまたロシア。

するとひょんな事から前の大家さんが、美術館で重い物を移動したりする作業をしている方々を派遣してくれてあっというまにそれも解決。ふたりがかりで思いソフアを5階から当たり前のように階段で担いでひょいひょい移動。

そんなわけで、ロシア的段取りにも精神的ペースを乱される事無く、物の移動は勢いで一気に押し切った形となりました。わがまま言ってるロシア人の押し切り方がだんだん解って来た今日この頃。

新居のベランダからの夕暮れです。

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今まで住んでいた部屋と反対向きなので、西の街並がとてもきれいに見えます。

シャンデリアが落下して来てから今回の引っ越しまでの一連の流れは、私にとってかなりな精神的修養となりました。いろいろと成長出来てるような気がして周囲のロシア人のわがままにも感謝の念が涌いて来ました。

嬉しい事です!

頑張りますよ~!