ロシアでのフリーの就労ビザ取得への道 | 木下順介オフィシャルブログ「東京火の玉キッス」by Ameba

ロシアでのフリーの就労ビザ取得への道

時々このブログにも登場するブルガリア人でありながら東洋医学のお医者様であるミルスラフ。

あっ、最初に行っておきますが今日は超長編の保存版です。

ミルの素敵な尽力に後押しされ、昨年の7月から取り組んでいた長期就労ビザの取得。

魑魅魍魎の国ロシアにはたくさんの都市伝説があり、お金をいくらか払えばすぐにビザが貰えるとか何とか、人それぞれいろんな事を言います。

しかもロシア人が言うならともかく日本人の方も人によって言う事が違っていたりして、そういう部分からもモスクワに住む日本人の人口の少なさが伺い知れます。特に企業に所属していないフリーの人々の人数の少なさは思った以上で、そういう方々はあまり日本人社会と積極的に交流するという感じではないので、めったに出会う事がありません。

ということは、ビザの種類に関する知識や具体的な取得方法について情報が少ないのは当然。

そんな時にというか困った時に今回も登場しウルトラな働きで助けてくれたのが、そのミルスラフ。

感謝です。

感激です。

ミル、本当にありがとう!

取得後すぐ電話したけどいつものように全く繋がらなかったので、ここに感謝と感激の意を表します。

明日また電話するけど、また多分繋がらないから奥様にも電話するね!

というわけですが、弁護士に30万払えば1年間の就労ビザを用意してくれるとか、韓国系のそういうあやしい企業に20万くらい払えば何とか出してもらえるとか、本当に様々な情報がありました。そういう事を言ってる人が実際にその作業をやった結果取得したのなら問題はありませんが、ほとんどの場合はそうじゃないのもロシアの特徴。人の話を鵜呑みにしてはいけません。

しかし、例え30万払ってビザが出たとしても期間が1年だとまた次も更新しなければならず、永遠に30万円を払い続ける事になります(というかお金払っても結果が出ない事が多いのもロシアの特徴)。昔と違って法律のどんどん厳しくなる昨今のロシア社会で、お金を払ったとしても簡単には取得出来ないなと私は自分の直感で感じていました。

そんな中でミルの情報により、

至極真っ当というか外国人として王道を行く手段での就労ビザ取得、

に取り組む事になりました。作業には細かい事がありすぎるのですが、これからこういうビザを取得したりロシアで何かをやってやろうという人のために簡単にプロセスを説明させていただきたいと思います。ロシア情報としては全く役に立たない私のブログでしたが、今日のはやっと少しだけ役に立つネタかもしれません。

この就労ビザは、РВП(エルベーペー)と呼ばれる物です。

元々は旧ソ連圏の人がロシアで仕事をするために役所の予算でロシアでの就労希望者に就労ビザを割り当てるという目的で創られました。ですから、モスクワ圏内の外国人労働者が増えて来たらこのビザの割当ては減り、減ったなと思ったら割当が増える、という水物なものなのです。前は年に何回か抽選があって、そこで割当数の分だけの人が選ばれ手続きが開始されるという物でした。それが昨年くらいから(正式には正確な時期は私には解りません)毎月抽選が行われるというシステムに変わりました。

具体的な進め方ですが第1段階として、

月初めの1日から7日の間(週末や祝日を挟む場合もあるので日程はこの通りではない。もちろんロシアなのでこういうイレギュラーな変更は一切知らされない。こういうアナウンスは現場に行って確認しないかぎり正確な情報はつかめません。それは学校とか他の場所でもです!)にメトロのシミョーノフスカヤ駅から徒歩30分近くの場所にあるケルピチナ通りの役所に、所定の書類に正確に内容を書き込み写真貼付の上で提出します。

朝9時頃から並んで提出するのですが、とにもかくにもどこの国の人だかわからないような人々が大量に居て、順番等抜かそう物なら髪の毛を引っ張ってでも引きづり出されそうになります。しかも書類がややこしくてきちんと書き込めている人が皆無。写真もまだ準備してないとか、さすがにこのへんは必死でビザが欲しいと言ってる割には外国人のいい加減さや書類への弱さを感じます。

その点、私は昭和の教育を受けた日本人の強みを活かし、写真を貼る糊まで用意し準備万端で気合いを入れてミルとともにのぞみました。

すると9時に開始された受付に朝早くから並んでいる人々は多い物の、書類にきちんと書き込めてない人がほとんどなので私の順番はどんどん繰り上がりあっという間に書類提出完了。9時半にはミルとお茶を飲んでいました。

がしかし、提出は完了しても抽選に受からなければまたその作業を1からやり直しです。発表は1ヶ月後。合格者名簿が張り出されるので、それをまたケルピチナの役所かもしくは管轄の役所まで確認に来なくてはなりません。

駄目だったらそこで再び書類提出です。

そして1ヶ月後、

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確認に来たら運の良い事に私は一発合格。96番が私です。倍率としては聞くところによると、1日に100人位が書類を出し、それの×7として毎月約600~800人。抽選合格がだいたい80人~120人くらい(今は100人を切っているらしい)といったところです。

やっぱ、気合いですよ、気合い!!

感謝感激で、ミルにすぐ電話しました!!

私の周囲の人に話を聞くと、この段階で抽選に漏れたために気持ちが折れてこのビザの取得をあきらめた、という人も何人かいます。確かに提出に行った時に、

まじかよこれ、

と私も思いました。基本的にモスクワという大都市で仕事を求めるために何日も列車に乗り、ここで労働し金を稼ぎたいと思っている人達のためのものですから、それはそれはもう男女ともに強烈な方々の集まりなわけです。

そして抽選に通ったら2ヶ月以内に今住んでる地域事に別れている管轄の役所へ、諸々の重要な書類を提出するのですが、これがまた煩雑かつ闘いの日々となります。私の場合は、写真の右に書いてあるЦАОというのが今後の管轄の役所になります。

この必要書類もインターネットに明記してあるのですが、変化の激しいロシアの法律なので一筋縄ではいきません。

2ヶ月以内、というと楽勝だなとか思っていたらそんな事は無く、事前に段取りよくスケジュールを組まなければギリギリになってしまうという煩雑さです。書類によっては2ヶ月以内に手元に来ない物もあり、

駄目ならそれでまた抽選からやり直し、

という事も多々あるそうです。

抽選合格後の段取りを第2段階という事にしましょう。

この段階で日本人の方にとって一番時間のかかる書類は、

無犯罪証明書、

です。日本に居住している時に最後に住んでいた(住民票上)警察からこの証明書を貰わなければなりません。その際に指紋押捺をしなければなりませんが、海外からこれを普通に頼むと到着まで2ヶ月強かかります。この時点ですでに期限切れとなります。なので、私は抽選の合否を待っている間に、モスクワの在ロシア日本領事館でやってもらいました。その際に必ず、

急ぎで、という文章を添付してもらい

1ヶ月以内でお願いします

という段取りを組んだ方が安全です。実際に私も急ぎでお願いしてジャスト1ヶ月かかりました。もしこれを日本に帰国した際に自分で直接警察署に行ってやったならば、1週間で出来ますが、それをロシア語に直したり正式な書類として日本の外務省でアポステイーユという作業を自分でしたりなどという作業を考えれば、モスクワで作業を行ったほうが作業の段取りを短縮出来ます。在ロシア日本領事館でお願いすれば完璧な形で手元に来ます。

もちろんいずれにしても受け取った物をナタリウスという役所でロシアでも正式な書類だという認証を貰う必要がありますが、これは簡単なのですぐ出来ます。

そういう必要書類がいくつかあるのですが、この無犯罪証明書をのぞけば他は普通に揃いますし、書類をナタリウスで証明してもらうという手続きにより完成していきます。ただそろえたのにいらないと言われた物もあって、戸籍謄本も完璧な形にしてそろえていたら、役所は提出の際に受け取りませんでした。もしかしたら私が独身だし子供がいないから必要なかったのかもしれません(不明ですので必ず確認して下さい。本当は必要と思われます)。同様に銀行の貯蓄証明書もロシアの銀行で証明してもらいそろえましたが、これも必要ないと言われました。ネットでは全て必要と書いていました。さすがロシアです!

必要書類は変わりやすいので、必ず役所に直接行って確認するのがベストだと思います。

そしてこの第2段階で最も手間を要するのが健康診断です。

日本人的感覚で、1カ所でやれば1日で終了だろ、という健康診断も、何種類かの血液検査、レントゲン、尿検査、薬物中毒検査、普通の問診、全てがOKだったという証明書をもらうための病院、など全ての作業において場所が違うわけです。しかも、公立のNo.の名前の病院へ行かなければならず、メトロからは全部遠いという立地。

それに何故だかわかりませんが、その健康診断の順番が全部決まっていて、行われている曜日、時間帯も指定があり、しかも結果が出るのが何日か後なので、ぴったりはまって行けば全行程1ヶ月くらいで上手くスイスイ進みますが、どっかで滑ったら2週間終了が遅くなるというような事も多々あるという、病院同士の健康診断の流れが関連性の無いスケジューリングになっています。

私も2011年の秋は映画大学の卒業のための諸々などかなり忙しかったのですが、全てをこの健康診断優先という段取りにしてのぞみました。もちろん行く先々の病院では行列必至です。それと、OKだったという判子とサインを貰うためだけに翌日再びというような場所は、私の無茶苦茶かつ強引なロシア語で押し切り、即日交付とかいう作戦に出たりもしました。それくらいガンガンいかなければいつまでたっても進みません。まあ、そういうのが通じるのがロシアの良さでもあります。

健康診断が全て終了したら、それぞれの罹患してない、という書類をそろえてまとめて証明をしてもらう場所に行きます。そこで何故かまたパスポートのコピー(もちろんナタリウスで証明のもの)などが必要だったりするのですが、書類のコピー等は常に持っておく必要があります。そういうのに関して私は準備が良い方なので、無いからもう一回とかいう寂しいタイムロスはありませんでした。でも周囲を見ていると、それで揉めてる人や、もう一回になってる人が思いのほか多いです。やっぱここでも日本人は優秀です。

罹患していないという全ての証明書も結局取得は1週間後。再び駅からテクテク歩いて取りにいかなければなりません。

7月から書類を集め始めて、8月1日に抽選のための書類提出を行い第一段階がスタートし、9月1日に合格を確認後、この第2段階の健康診断完全終了が9月26日。私は全てのスケジュールをこれに最優先し、途中で強引なズルで期間短縮していても26日かかっているわけですから、忙しい方が途中でなえてしまうという気持ちもよくわかります。

しかも全ての役所の窓口で働く人々(ほとんどがおばさん達)、お医者さん、看護婦さん、など愛想の良い人や親切な人は皆無に近く、どんなに私がゆっくり話してくれと言っても、言いたい事だけを早口でまくしたててきます。

まあ、なめた態度や生意気な奴に接すると何故か燃えてしまう性格で実力を何倍も発揮してしまう私にこういうのは良い刺激なので問題はないのですが、真面目な方だとけっこう大きな疎外感を感じたり、かなり寂しい気持ちになってしまうでしょう。

窓口のガラスを叩いている中東風の人や大げんかしているエキゾチックなおねえさんなど、たくさん観ました。

そして、書類、健康診断書などが揃ったら、それを管轄の役所に提出。その際に、移動中に書類がなくなったり、写真が落ちて何処かに消えたりという意味の無い事故をふせぐためにも、きちんとフアイリングしてケースに入れて提出する事が懸命です。そういうケースはモスクワのどこの文房具屋さんでも売っています。

提出の際に再び書類チェックがあり、判子がなかったりだとか書類に不備があったりだとかしたら、即効で突き返されてやり直しを命じられます。この提出はビザ取得のためのけっこうな山場で、ここで完璧にバシッと決める事が重要です。私もこの時はミルスラフとアンドレイの2人の186センチオーバーの長身な男性2人と共に臨んだので、周囲からの軋轢も無くスイスイと提出完了。スイスイとか言っても、到着してから退出まで4時間以上は経過しています。

私は9月28日に行ったのですが、その後書類審査や裏取りを役所が行った後、半年後に証明書が貰えるという流れになります。9月提出分は順調に行けばその6ヶ月後の3月に就労の許可証が出ます。

もし審査中に書類の不備や何かの問題点があれば、この証明書はどんどん後に回されて中々許可証が出ないという事になります。

2012年の3月になり、この月の証明書交付がいつなのかというというのも、時々役所に行ってチェックしておかなければなりません。

この証明書の受け取りから先の作業を第3段階としましょう。

私は9月に書類を提出した際にいつ出来るのかと聞いたら、2月だ、と役所の人が言いました。でも数えたら半年後は3月だろ、と言っても指折り数えているのに2月だと言い張ります。これは次のビザの段取りのために非常に重要な事なので何度も確認したあげく、同行のアンドレイに聞いても2月だと言うので、そういう計算方法なのか、と解釈していたらやっぱり実際の交付は3月。おかげで、2月だと思って余裕を考えて段取りしていたビザがギリギリとなり、不法滞在期間が出来てしまうのではないか、というヒヤヒヤな時期もありましたが、何とか運良くクリア。事無きを得ました。

レジのおつりでもそうなのですが、ロシア人は意外にも計算に弱く、93ルーブルの金額に対して103ルーブル払ったら、多すぎるぞお前、とか堂々と言って来ます。そういう部分は日本人としての自分を信じましょう。

この受け取りというかパスポートへの押印と1枚の書類の交付の際に、そこで指紋を採取されるのですが、私の管轄の役所ではこの作業が毎週金曜日、となっていました。

なので半年経ったら毎週木曜日に役所に電話するか直接行くかして、自分の証明書が明日作業OKかどうかを確認しておかないと、行っても未だです、みたいな事にもなります。何度も言いますが、こういうアナウンスが役所側からあるという事は皆無です。基本的に自分で全て確認しなければなりません。まさにここは22年前までソ連だったロシアなのです。

並んでるうちに書類とかの記入を済ませておけば良いんじゃないのか、とか思うのですが並んだ順番に部屋に入ってから書類を渡して、一旦外で記入しまた並ぶ、という非効率極まりないロシア的進行でした。

まあいいや、とか思いながらも書類に記入し(とか言うとロシア語イケテルんじゃないかと思われるのですが全くそんなことはなく、大量に接するのでロシア語の書類に慣れてきて、そういう単語にも強くなってる自分を発見しました)提出後、レギストラッツアやパスポートなどを渡してから指紋押捺。

1時間後くらいにパスポートに判子を押して証明された物を返してくれます。

これで終わりかと思いきや、ここからの行程もなかなか一筋縄ではいきません。この証明書は3年間有効ですが、その3年間の滞在許可証、いわゆるレギストラッツアを大家さんにしてもらわなければなりません。

日本だとあまり感じる事はありませんが、滞在許可証、がなければロシアには滞在してはいけません。通常の旅行でも必ずこの滞在許可証はホテルなり会社なり、学校なりが行います。ちなみにこの滞在証明書を出す滞在先からの招聘書がなければビザは出ません。ビザは出入国の際のパス。滞在許可証は警察が管轄していて、不法滞在、不法就労への厳しいチェックを日夜行っています。そのレギストラッツアを7日以内にしなければなりません。もし出来なければまた最初の抽選からやり直しです。

私も大家さんとともに所定の書類をそろえて、朝早くから役所を2カ所周りレギストラッツアをしてもらいました。このレギストラッツアが第3段階の山場かもしれません。自分だけではなく、大家さんにそろえてもらったり記入してもらったりしなければならないややこしい書類が多く、しかも役所は住所の細かいところまで厳しく追及して来ます。

私は何とかかんとか午前中のうちにレギストラッツア取得。

大家さんのところに何度か足を運んで事前に書類を造ってもらっている事が重要です。ここでも私の日本人的準備感覚が功を奏しました。

そして次に健康保険証を交付してもらうためにまた違う役所の下請けみたいな場所に行き、保険証を発行してもらいます。

レギストラッツアと保険証が揃ったら、次はいよいよビザ発給のための役所に行きます。

ここでも午後から行くと当然ながら行列必至ですが、私が行った時は黒人の人々や中国人などが大量に居て、一種異様な空気が漂っていました。しかも大概、こういう手続き専門の業者のような人がそれぞれ何人かづつを仕切っていて、それはそれで圧巻な景色でした。

またこの場所もロシア式というか、並んで書類を受け取って書いてまた並ぶという非効率な流れ。私が並んで用紙をもらってから記入しようとしたら、ロシア人のおばさんがそれはそこがこうであれで、というふうにいきなりアドバイスしてくれて、しかも後半は全ておばさんが記入してくれるという奇跡のような状態。書類も必要なのはこれとこれでとか言いながらホッチキスで留めてくれて、あっという間に必要書類が揃うというミラクルな出来事。記入はともかくやってもらわなかったら必要書類とか解らなかったので、本当に助かりました。

ホッチキスで留めた後は書類に苦労している外国人達を尻目に行列30人抜きくらいですぐに窓口に提出完了。まともに並んで何だかんだやっていたら2時間くらいはかかっていたであろう行程が20分で終了。

体重100キロくらいはあるおばさんでしたが、私には女神に見えました。

こういう奇跡もあるんですね。

心よりの感謝です。

丁重にお礼を伝えたら、日本人は素晴らしい国民だ、と何度も言っていました。

もちろんこのおばさんもどこかの業者の人ですから、何かの目的があって私を助けたのかもしれません。私を使って周囲への営業パフオーマンスをしたのかもしれません。しかし、ここではそんなことを考えず、身も知らない私を助けてくれた事に多大なる感謝をしたいと思います。私はとにかく助けてもらった事が嬉しかったのです。

ありがとうございました。

提出後は指定された日時にビザを受け取りに同じ場所に行きます。

受け取りには仕事の都合で午前中一番に行ったのですが、ガラガラ。昼から行ったらぶつかるくらいにぎっしり人が居たのに、朝一番は3人。しかも朝早くから来る人は真面目そうな人達ばかりで、ようくみるときちんと書類も揃えてあり、なるほどな、と納得。

3分くらいで手続きも終わり、数分後に無事にビザ取得。

昨年の7月から始まった段取りがようやく良い形で結果となりました。

ミルを始めとしてこのビザのために多大なる尽力をしてくれた方々に心からの感謝です。

本当にありがとうございました。

超長編になりましたが、ビザ取得への道、参考になりましたでしょうか。

このビザを取得したいという方がいましたらご連絡下さいませ。

私の知っている事でしたらお伝えいたします。

そんなわけで、これからロシアでもバリバリに働きたいと思います!!

気合いだな、気合い!!!