潤くんのお祖父ちゃんが亡くなった日から
潤くんは学校に来ない。
あの日、
俺と「友達やめる。」
俺を「自由にしてやる。」
って、潤くんに言われてから
潤くんとは会っていない。
俺が「友達やめる。」って、言ったのに
潤くんの方から「友達、やめる。」って言われたら
なんだかおかしな気分だ。
それから、会えないこともあって
「何かあったのか?」と心配になってくる。
それに、
あの時の潤くんの涙声が
今でも耳に残ってるんだ。
深く考えることが苦手な俺は、
なにをどうしたらいいのかも
わからないまま
潤くんのことも……………
翔くんのことも…………………
なにもアクションを起こすことなく
日々は過ぎて行き
そのうちに夏休みに入ってしまった。
潤くんがいなくなって
昔みたいに、ニノやまーくんたちと遊べるようになって
「よかった。よかった。」って
二人は、俺を見ては言っている。
でも…………………
翔くんだけは……………来なかった。
会わなければ俺も忘れられる。
翔くんが好きだったことを忘れられる。
あれは、やっぱり間違いだったって……………
思える日がくる。
でも、バカな俺は
翔くんとの約束だけは破りたくなくて
夏休みの間も俺は、水曜日の夜
神社の脇の銀杏の木の下に行ってみる。
と、言っても
人に見つけられたことを考えて
街灯の光が届かない反対側に立っていた。
そして、今日も
来るはずのない翔くんを待っていた。
来ないってわかっていてくる俺って
やっぱりバカだな…………
かれこれ、もう1ヶ月はしゃべってないっし会ってない。
本当に………
このまま自然と…………
翔くんのこと……………
忘れていけるのかな…………
友達にも……………
戻れないのかな……………
『やっぱり……いたんだね。』
ふいに聞こえてきた声に驚いて
声が聞こえた暗闇に目を凝らす。
『…………久しぶり。』
『え?
……その声は……………………潤くん。』
そこに現れたのは
ちょっと大人っぽくなった潤くんだった。
『まさか、
いるとは思わなかった………』
と、言いながら近づいてきて
俺は思わず後ずさった。
俺の行動に苦笑いをして
『俺が友達やめるって言ってから
櫻井とうまくいったんでしょ。』
と、聞いてきた。
『………………』
潤くんは知らないんだ。
潤くんがいった通り
翔くんには彼女ができたのに…………
俺が黙っていることで
察がついたのか
それ以上聞くことなく
『本当は……………
ちょっと感傷に浸りたくって
ここに来たんだ。
ここに智がいたらいいな。
って、思っていたら…………
………………いたね。』
と、優しい笑みを浮かべた。
なんだか、
憑き物がとれたみたいな穏やかな顔になっていて
あの、恐怖はどこにもなくなっていた。
『………ど…………どうしてたの?』
口が乾いて上手にしゃべれなかった。
『俺?』
『うん。
学校休んで……………』
『ああ、
俺さ、
東京帰るんだ。』
『え?
…………俺も?』
また、俺を東京に連れていって
一緒に住もうって言うのかと焦った。
『ははは、違うよ。
俺の体調も良くなったし
じいちゃん死んで、あっちの家に誰も住んでないからさ。
帰ることになった。
それで、転校の手続きや引越の準備とかね。
いろいろ忙しかったんだ。』