父ちゃんにあらいざらいぶちまけてやった。
潤くんの我が儘のせいで
俺がどんな迷惑を被っているかを………
父ちゃんはお酒を呑みながら
それでもちゃんと俺の話を聞いてくれて
『智に嫌な思いをさせてたんだな。
悪かった。』
と、謝ってくれた。
父ちゃんの言葉で少し落ち着いてきた俺は
なんだかやっと肩の荷が下りた気分。
『社長も"我が儘に育ててしまった。"と
仰ってらしたからな。
寂しい思いをしてこられたから
そうなっちゃったんだろうなあ………』
と、父ちゃんが潤くんを擁護する。
確かに、
あのでかいお屋敷で
でかいテーブルに座って
たった一人で食事をしてる
潤くんの姿が目に浮かんだ。
途端、潤くんの寂しさが押し寄せてきて
初めて会った時の
あの小さい、弱々しく、ちょっといじけた顔して
俺を見ている潤くんが思い出された。
『俺は幸せだな。』
母ちゃんの味噌汁を啜りながら呟いたら
『うんん?
どうした突然?』
と、父ちゃんが反応し
『うん。
俺は幸せだ。
父ちゃんと母ちゃんがいて
小さいテーブルで大皿から
皆で箸を突っついて食べてる。
父ちゃんも母ちゃんも俺の側にいつもいるもんね。
俺は幸せだ。』
『ふふふっ
何を言い出すかと思ったら…………
おかしな子。』
と、母ちゃんが笑ってた。
潤くんが寂しがりやだって事はわかってた
だから、
俺の事を好きだって言ったのも
ただの愛着じゃないかな………
雛鳥が初めて見たものを親と思うように
潤くんにとって、初めての友達が俺で
俺を好きだって勘違いしてるんだろう……
多分……………
じゃあ…………
俺と…………翔くんの…………感情は?
翔くんは、間違いって気付いて
彼女作ったんだ。
俺も………………
忘れなきゃ……………………
忘れられるのかなあ………………
今日、突然潤くんにキスされたけど
思い出すのは………
潤くんの噛みつくようなキスじゃなく
翔くんとの、ほんの触れたか触れないかのような
霞めるようなキスばかり
自分の指でそっと唇に触れてみる。
翔くんのキスが…………好きだった……
一瞬、ほんの一瞬
翔くんが彼女を抱き寄せて
キスをする姿が頭を過り
心臓が止まった。
俺………………
やっぱり翔くんの事が………………