『まー君。
ありがとう。
でも、大丈夫だから。
まー君が怒らないで。』
俺や翔くんが「かわいそうだ。」って言って
俺たちの代わりに怒り出した優しいまー君。
『潤くんがいなかった
あの楽しかった時代に戻りたいよ。』
と、まー君の気持ちがあふれでる。
「そうだね。
毎日、走り回ってた。
泥んこになって
汗だくになって
遊んでいたあの日に……………
俺も、返りたいよ。」
『おい。なにやってる。』
不意に、怒りに満ちた声が背中に聞こえて
振り向くとそこには潤くんが立っていた。
『…………潤。』
『潤くん。』
『なにやってんだよ。』
まー君を睨み付けて腕で押し退ける。
まるで、「俺のものに触れるな」と言わんばかり
『………潤。
お前な………』
まー君も苛立ちから応戦しようと前に出るものだから
『いいんだよ。
まー君。
…………本当に………』
と、俺がまー君を制すると
まー君は潤くんを睨み付けて
『ふん。』
と、顔を背け
『じゃあ…………
なにか力になれることがあったら
絶対に言ってね。』
と、俺の肩に手を置いた。
『うん。
ありがとう。』
『俺たちは、皆がおーちゃんの味方だからね。』
そう言って
まー君は手を振って去っていった。
『俺がいないのをいいことに
なに喋ってたの?』
潤くんの怒った声に
「今度はこっちを宥める番かよ。」
って、ため息がでる。
『はああ~
いいだろ。
なんだって…………
俺、そんなとこまで監視されるの?
俺、潤くんのなに?
奴隷?
いい加減にしろ。』
俺の声がいつもより大きく
撥ね付けるような言い方になった。
『……………ごめん。
智……………
怒んないで
ごめんなさい。』
と、潤くんが小さい声で謝ってくる。
シュンとした姿が
なんだか小さかった潤くんと重なった。
今では身長も伸びて小さいイメージはないのに
それでも、初めて会ったときの
あの心細そうな潤くんの顔と重なった。
潤くんは、やっぱり俺だけか
始めて会ったあの日から
なにも変わってないんだ。
部活を始めて、
少しは他の人と接するようになったし
友達も出来たんじゃないかなって思ってたけど
それでもやっぱり俺だけなんだ。
………………執着心。
『潤君さ、
もっと、いろんな人と付き合わなきゃ駄目だよ。
俺だけじゃ駄目だ。
いつかお父さんの会社を継ぐんだろう。
そんな潤くんが、内向的じゃだめだろ。』
と、俺の諭すような言葉に
『うん。
智が俺との約束を守って
櫻井と付き合うのを辞めてくれたんだもんね。
俺も、智の言うこと聞かなきゃ。』
と、ニコッと俺に笑いかけた。
『…………………』
俺は後ろめたい気持ちになる
だって…………
俺には………………
秘密があるから………
俺達の……………秘密が…………
『俺、もっと色んな人と付き合えばいいの?
………………どうやって?』
俺の秘密も知らずに
尋ねてくる潤くん。
どうか……この秘密が………
……ばれませんように…………