『あら!!
もう帰ってきたの?』
仕事の帰りに実家によった俺を見て
昨日の今日で、俺が帰ってきたと思ったらしい
『よかったわ。
今日はカレーだったのよ。
食べるでしょ?』
『…う………うん。』
俺がこの家を出て一年………
なにも変わらず
俺の場所がそこにあった。
ソファーの俺の定位置に
今でもお気に入りの
フワフワクッションが置いてあって
部屋もそのままにしてある。
いつ帰ってきてもいいように
掃除もしてくれてるんだろう…………
なんだか母ちゃんが嬉しそうに鼻唄を唄い。
キッチンからトントンと、何かを切ってる音がする。
母ちゃんは、俺に帰ってきて欲しいと
思っているんだろうな………
母ちゃんにとっても
失われた3年は大きな心の傷なんだ………
『……………翔くんのお母さん…………
…………なんだって?』
昨日の事が気になるんだろう
キッチンで料理を作りながら
俺に問いかける。
『……………母ちゃん。
家に家族が増えてもいいかな?』
『家族?
やだ、犬か猫でも飼うつもり?』
『いや。
犬とかじゃなくて………』
『カメレオンのカーギーがいるから
もう要らないわよ。』
と、言ってブローチのように
母さんの肩越しに静にしているカメレオンに
野菜くずを与えてた。
『ははは………なんだよ。
その格好…………』
『智が家を出てから
友達に勧められて飼ったのよ。
この子が可愛いの。
智と違って……
口答えはしないし、
いつも母ちゃんの側にいてくれるしねえ……』
と、頭を撫でた。
『ちょっと待って。
カメレオンを触った手で野菜切ってたの?
手は?
手は洗った?』
『カーギーは綺麗だから大丈夫よ。
それに煮込むんだから』
「…………………」