『あっ。
翔くん。
お帰りなさい。』
俺がドアを開けると
杉本さんの後ろに翔くんが見えた。
案の定、帰ろうとしてる?
もー…………やっぱりなんだから……
俺は走っていって翔くんの腕に自分の腕を絡めて
ちょっと、否、わざと偽装おっぱいを翔くんの腕に押し付けた。
翔くんは俺が誰かもわからないようで
オロオロしていて
可笑しいやら、かわいいやら………
兎に角、引っ張って部屋に連れ込んだ。
訳もわからず連れて来られた玄関に入るなり
『…………ゲー………………
……………なんじゃこりゃ…………………』
と、茫然と立ち尽くす翔くん。
『どうしたの?』
と、声をかけても俺の声が聞こえなかったみたい。
『ふふふっ
翔くん、こっちこっち。』
と、手を引いてリビングに導くのに
俺の手は振り払って
『お前誰だよ。
何が目的?
なんなのいったい。』
と、翔くんが真っ赤な顔して怒って俺を睨み付ける。
「あちゃー
やっぱり相当怒ってるよ。」
まあ悪いことしたなって思うけど
でも……………
そんなに怒らなくてもいいじゃん。
翔くんの…………バカー…………
悲しくなって俺は下を向いた。
そんな俺を、"泣かせた"とでも思ったのか
翔くんが悪い訳じゃないのに慌てて
俺の機嫌をとろうとしてる姿が
可笑しくて、かわいくって
『ふふふっ』
って、つい笑っちゃった。
顔を上げると翔くんがポカーンとした顔。
『………もう…………気付かないの?
…………俺だよ。』
と、俺は長い髪のウイッグを外してみせた。
『お!!
………お…………大野!!
…………てめーっ』
って、威勢よく俺に掴みかかってきた
と思ったら
次の瞬間………
ヘナヘナっと腰が抜けたみたいでしゃがみこんだ。
俺もしゃがみこんで翔くんを覗きこみ
『翔くん?
大丈夫?』
って、聞いてみたら弱々しい声で
『……だ…………大丈夫じゃ……ねー』
と言って、俺を睨んだと思ったら
その内 "うわ~ん" って泣き出してしまった。
男の人が…………
大の男が………おお泣きするなんて………
翔くん……
翔くん…………てば…………変なの……………
もー……………
『ごめん。
………ごめん。
ごめんってば…………泣き止んでよ。』
俺が必死に謝ってるのに
『…………お前………
………何して………くれてんだよ。
………………………その格好も…………』
と、涙を拭って俺に怒ってた。
こんなに謝ってるのに…………