事務所に引っ越した報告をして
仕事が入ってるか聞いて
(スケジュールが真っ白だった。)
帰りに、大野が美味しいと言っていたパン屋のクロワッサンを買って。
カップのミネストローネを探したけど見つからなかった。
携帯で"ミネストローネの作り方"を調べたら
簡単な作り方が書いてある。
これなら初心者の俺でも作れるんじゃね。
と、材料をスーパーに買いに行くことにした。
「トマトは缶でいいのか。
玉ねぎ、ニンニク、じゃがいも……
じゃがいもってどれがいいんだ?
男爵?きたあかり?なんじゃこりゃ……
まあ、どれでもいいか。
にんじん。
シメジ………シメジってなんだ?
あと、ローリエ?
コンソメ?
なんじゃこりゃ…………
知らないことが多すぎる
スーパーは俺にとっての宇宙だ~。」
とかなんとか1時間近くうろうろして
やっと食材を買い込んで
家についた。
その頃には3時になっていて出勤時間が迫ってた。
家に着くと大野が
『どうしたのこの食材。』
と、俺を見て驚いていた。
『ミネストローネのカップスープが無かったから
じゃあ………作るかって思ってさ。』
と、告げると
『凄いね。
翔くん料理も出来るんだ。』
と、大野がキラキラした瞳で俺を見る。
すっかり女性に変身してる大野を見ると
なんだかおかしな気分になる俺。
『でも、5時にはお店に行かなきゃだから
下ごしらえだけでもしておいて
帰ってきてから煮込もうか………
手伝ってくれる?』
と、大野に聞くと
朝のあの変な空気はどこにもなくて
にこにこしながら"うん。"と頷いた。
『でも、ピアニストに怪我はさせられないから
切るのは俺。
剥くのは大野ね。』
『うん。
わかった。』
『じゃあ……
材料を袋からだして…』
と、二人のおままごとが始まった。
本当は、じゃがいもの皮なんて剥いたことがないし
切ったこともない。
でも、まだ大野よりはできるはずだ。
と、知ったかぶりしながら切っていく
「兎に角、全て小さくすればいいんだろ。」
『ねえ。
これってゴボウじゃない?』
『そうだよ。
ゴボウって入らないの?』
『わかんない。
入ってたかなあ…』
『食べたことがあるのって
大野だけなんだから
ちゃんと思い出してよ。』
『翔くん。
本当にその持ち方でいいの?
そのままいったら指切らない?』
『おおーっ
危なかった。
もう少しで血を見るところだったぜ。』
って、なんだか二人でワキャワキャと
本当に新婚さんみたいに
並んで食材を切っていた。
大野が笑ってる。
『なにこの切りかた。
見たことないよ。』
って、大笑いしてる。
それが凄く可愛かった。