※ここに出てくる
田子雄大先生は、"人生は………"シリーズの櫻井翔くんです。
ややこしいですので名前を変えてあります。
.:*:・'°☆
家出の間の5日間、かーちゃんに
「どこにいたのか?」
「何してたのか?」
って、しつこく聞かれたけど
なのもしゃべらなかった。
翔くんのことは、誰にも言わない。
……俺の……………秘密。
『はじめまして健太くん。
俺は、田子雄大と言います。
これからよろしく。』
と、言って
次の日から現れた家庭教師の先生。
つい最近まで高校の教師をしていたとかで
とてもフレンドリーな先生だった。
そして、こういう人を
世間では、好青年て言うんだろうなって思った。
あっという間に、親の信頼を得て
俺のことを、親から色々聞いているようで
家庭教師って言うわりに
勉強より一般常識や生きていく術を教えてくれた。
例えば、
今、若者たちの間で流行っていることや
パソコンの動かしかたとか…………
先生と一緒だと、かーちゃんも安心らしく
外にも連れ出してもらって
社会実習とか体験とか………
体を動かしたり踊ってみたり
サッカー観戦したり
まるで、友達………?
否、年の離れたお兄ちゃんのように
俺を可愛がってくれた。
先日はアイドルグループのライブにも行ってきた。
先生の"息子"がいるんだって
紹介してくれたんだけど。
どう見ても俺と同年代の男の子。
年齢を考えると納得がいかなくて
不思議な顔をしていたら
『はははっ。
健太の顔。
口が開いてるぞっ』
って、笑われた。
『俺の連れ合いの子供なんだよ。』
って、教えてくれたのは帰りの車の中。
左の薬指に指輪があるから
先生が、結婚してるんだろうなってのは気づいてたけど
「まさか…………
子持ちの再婚だったなんてビックリ。」
って、
思っていたことが顔に出ていたらしく。
また、先生が笑って
『健太に、
俺の秘密教えてやろうか?』
と、コンビニの駐車場に停まった。
『あいつは、俺の連れ合いのお姉さんの子供なんだよ。
ややこしいか?』
と言って、先生は俺に自分の事を話してくれた。
("人生は………"シリーズ参照)
先生が、中学生の頃。
大好きだった人が、家族旅行中に事故に遇い。
それっきり会えなくなったんだと言うと。
『新聞記事で知ったのは
お姉さん夫婦と、その両親の4人が亡くなり。
生存者は二人。
一人が重傷。
もう一人は無傷の赤ちゃん。
それがあいつ。
その後、どうしているか情報もなく。
死んでるのか生きてるのかわからない状態が続いたんだ。』
と、言う。
まるで「翔くんみたいだ。」って思った。
忘れようと………
忘れなきゃ………いけない…と思っていた………存在の人。
「もう、会わない。
もう、来るな。」って
俺は、完全に拒絶されたはずなのに……
時が経つほど、忘れられない存在となっていった翔くん。
そんな……………
『…………翔くん………みたいだ。』
俺は、思わず口に出てしまった。
『え?
翔くん?』
と、俺の言葉を先生は聞き逃さなかった。
『………うんん。
なんでもない。』
俺は、首を振って否定した。
『………翔くん…………って?
……………友……達?』
と、先生が探りを入れてる。
俺に友達がいないことぐらい
知ってるくせに…………
俺が、家出の時どこにいたか
俺から聞き出したいんだ。
だから、
『うんん。
なんでもない。』
と、窓の外を見て黙りこむ。
『………………そうか。
じゃあ………聞かない。』
と、静かに身を引いた。
暫くの沈黙の後で
『……………で、
先生はその人に会えたんだよね。』
と聞いた。