智が目覚めることなく一週間が過ぎた。
業者に任せて引っ越しを行い。
その間も、妻は智の側から放れなかった。
唯一の救いは、
落ちた場所が花壇だったこと。
雪が降っていて地面が濡れていたことで
クッションになったこと。
とは言っても
脳挫傷と、腕と足の骨折。
意識が戻っても脳出血のせいで
意識障害、運動障害、言語障害、または失明の恐れがある。
と、担当医から聞かされた。
住み慣れた家を棄てて
新しい地でやり直すつもりだったのに
まだ、荷物をほどいていない段ボールが
あちらこちらに点在するなか
寒々としたリビングで
コンビニから買ってきたお弁当を開いた。
リビングを見回して
この家に、笑い声が響く日はあるのだろうか…
と、考える。
最近、涙もろいのか
すぐ泣いてしまう自分が情けない。
『お父さん。
智が…………
智が目を覚ましたのよ。』
と、妻から連絡が来たのは
それから一ヶ月も経っての事だった。