家につくとすぐ
『ねえ。シャワー借りていい?』
と、智が聞いてくる。
『あっ、
ああ。』
俺は、室内に散らばった服や雑誌
教科書などを片付けながら返事をして
埋もれてたソファーを発掘し
ベットの上の物を押入れに詰め込んだ。
ふー……
と息をつくと
風呂場から水の流れる音がして
改めて実感した。
「これから……………するんだ…………」って………
智が消えたあの日から………
俺は智の姿を探してた。
ずっと…………
ずっと…………忘れられなかった。
「どんな青年に育ってるだろう」って
想像もしてた。
温室で抱いた智の面影を胸に
何度、自分を慰めたことか…………
だけど……………彼は智じゃない…………
でも、思ってしまった。
「俺の智だ」って…………
俺の心を開放し……………
俺の抱えてる苦しみから救ってほしかったんだ。
額に入った、5人並んだ中学時代の写真を見ながら
『…………智……………
…………智……………』
と、呟いた。
『…………なあに?
俺のこと呼んだ?』
と、後ろから声がして
俺の持っていた写真を覗きこんで
『あっ。
ほんとだ。
俺そっくりじゃん。』
と、言う。
『彼が、智くん?』
と、智を指さし
俺が頷く。
『…………突然、消えたの?』
『……………』
声が出なかった。
彼の声も……………
智に似ているんだよ。
思えば思うほど鼻の奥が痛くなる。
『そっか。
櫻井さんは、その彼が好きだったんだ。』
『……………』
堪えきれずに涙が溢れた。
『……………泣くなよ。
もー……俺が慰めてやるよ。
俺が櫻井さんの"さとし"になってやるから………。』
と、彼が俺の事をギュッと抱き締めた。
暫く、背中を撫でられて
少し落ち着いてきて
状況を冷静に受け止めると
智が裸で腰にバスタオルを巻いた姿で
俺を抱き締めてた。
『なっ。
なんだよ。
お前の格好。』
『………だって…………
どうせすぐ脱ぐじゃん。』
と、ケタケタ笑ってる智は
やっぱり、俺の知ってる智にそっくりだった。