「ちょっと目を離すと
すぐ虫が飛んでくるんだから………」
テラスに座っている智に
ニヤニヤと近づいて話しかけてくる男たち。
『何見てるの?
そこにいて寒くない?
こっちにおいでよ。
君、かわいいね。
男の子かな、女の子かな?
いくつ?』
って、智が黙ってるからって
ちゃっかり隣に座ってたりして。
智を、そう言う対象に見てるのかと
思うと虫酸が走る。
『さあ、行くわよ。』
と、智の手を引いて立たせて
ぺこっと頭を下げて立ち去る。
「髪が長いから、女の子と間違われて
こんな病院でもナンパなんてされるんだわ。」
智は、男の子なんだから
男の子らしい髪型にして
昔の智みたいに戻ってほしい。
元気で、明るくって、ちょっとおバカで
屈託のない笑顔を見せていた
そんな、智に戻ってほしい。
それがお母さんの願いよ。
かわいい智の頭を撫でながら
『智の、その髪
切っちゃいましょうね。』
と、病院に併設されている
理容室に連れてきた。
.:*:・'°☆
「勇太。
髪が伸びたね。
肌の色も白くなって
かわいいよ。」
って、声がする。
「勇太。勇太」って、そいつは言いながら
おいらを抱く。
時には優しく、時には乱暴に
一晩中眠ることさえ許されず
仕込まれた。
触れられる事に嫌悪もした。
でも、徐々に反応する自分の体に呆れながらも
快感を求める貪欲さもあって
行為の後で
自分に言い訳をして自分を侮る。
こんなおいらを誰にも知られたくない。
まして、翔君には…………
おいらはこのまま黙っていよう。
そしたら、おいらの罪は暴かれない。
おいらは勇太として生きていく。
だから、おいらに触れないで…………
だから、おいらに話しかけないで…………