悔しい……………
悔しくてたまらない………
智が失った時間。
長い人生の中のたった3年………って
お父さんが言ってたけど
そう、思うかもしれないけど
思春期の、子供から大人へと変化する大事な時に
無理矢理、摘み取られ
欲望の捌け口となり
歪んだ性行為によって
心に大きな歪みを作ってしまったんだろう。
智のせいじゃないのに…………
智は自分を責めてるんじゃないか?
俺が助けになりたいのに………
今は、待つしかないのか。
俺達は、智のお父さんに手紙を渡して帰ってきた。
3人も、俺の言葉で何かを感じ取ったのか
帰り道、口を開く者はいなかった。
.:*:・'°☆
この病院は、自然が豊かで
都心から離れた海沿いに建っていた。
自宅からも随分離れて
雑音も入ってこない。
ここに移ってから
2日経つのに、智はまだ一度も声を出さない。
今日で、この子も18才。
あなたが生まれた日を、今でも覚えてる。
あなたは、いい子で
ちゃんと予定日に生まれてくれた。
産みの苦しみを経て
あなたに会えた時の感動………
お父さんなんて仕事そっちのけで
走って来たのよ。
携帯とリモコン間違えて持ってきて………
あなたは愛されて生まれてきて
今でも、皆に愛されてるのよ。
忘れないで…………と
海の見えるテラスに座って
ずーっと空と海の境目を見ている智に話掛ける。
智の耳に届いているのかわからないけど
智の隣に座って「かわいい。かわいい。」と
頭を撫でた。
風に髪がさらさらと流れて
まるで女の子みたい。
病院内でも、女の子と間違われる。
それが嫌で
智を、そう言う目で見てるかと思うと
虫酸が走る。
だから、長い髪を切ってやろうと思い
病院内の理容室に連れていった。