智が、この病院に運ばれた2日後。
私は長年の疲労と安心感から
ウトウトと少し眠ってしまった。
フッと、目を覚ますとベットに智の姿がなく
点滴は外されていて
溶液がポタンポタンと垂れて床に水溜まりを作っていた。
ドアの方に目をやると
ヨロヨロとしたあしどりで
智が、一人部屋を出ていこうとしている姿が目に入ってきた。
どこにいくつもりなの?
私は、咄嗟に声もかけずに手を掴んだ。
すると、驚いた智が
『あ…………ああ………あ……』
と、悲鳴をあげて倒れた。
私はそんな智を受け止め
悲鳴を聞いた看護師が走ってきて
もう一度ベットに寝かせ
担当医を呼んだ。
「なんで?
ただ、私は手を掴んだだけなのに………………」
智の目は……………
私を見ていなかった。
先生が、
『今は眠らせて、
体力が回復するのを待ちましょう。』
と言って
点滴に安定剤と言う睡眠薬が投入された。
毎日毎日、あの子達が来る。
「今日こそは、目を覚ますかな?」
って、無邪気なものよね。
目を覚ました智の苦痛も知らずに………
なんで……………
なんで………………
なんで…………智だったの?
その思いが…………拭えない…………。
あっちこっちで、噂が拡がって
よくも知らない人が尾ひれを着けていく。
智は、被害者なのよ。
被害者なのに…………
勝手なことを言わないで………