身元不明の遺体が見つかる度に
智の両親は、警察に確認に行く。
そんな作業しか出来ないもどかしさ
お父さんも、徐々に疲弊していった。
智は生きている。
…………って信じてるのに……………この矛盾。
智。
お前……………
生きてるんだろ……………
いい加減戻って来いよ。
智。
お前が消えた夏が…………もうすぐ来るぞ…………
『そう言えばさ、
あの子どうしたんだろうね?』
突然、俺の隣で女の子が呟いた。
俺は、安田の策略にまんまと引っ掛かり
山下と共に、他校の女子高生とカラオケ屋で合コン中
「行かない」って、何度も言ったのに……
俺の両脇に女の子が座り、向側にも一人
ここぞとばかりに俺に質問をしてきた。
「くだらねえ………」
「櫻井くんって、歌うまいの?
どんな曲を聴いてるの?
芸能人なら誰が好き?」
「櫻井くんって、東京生まれだけあってモデルみたいだね。
スカウトされないの?」
「櫻井くん、彼女いないの?」
「東京の女の子は、お洒落でしょ。」
「スカイツリー行った?」
「代官山て、やっぱりお洒落?」
…………………………
あーっ………
鬱陶しい。
適当に相槌打って、帰るタイミングを伺っていた。
『でも、櫻井くんって
なんで態々こんな田舎に来たの?
東京の高校の方がいいでしょうに。』
と、隣の女の子が言う。
俺だってわかんないよ。
なんでこんな知らない土地に来てるのか
それも、態々家族と離れて
俺が目指していた高校もここじゃないし
なんでだろう…………
色々なことが不鮮明だ。
俺の記憶がスッポリ抜け落ちてるような感覚。
思い出そうとすると
そこだけ濃い霧がかかっている感じ………
ボーッとしていたんだろう。
不意に隣の女の子が
『ねえ。
櫻井くんは知ってる?
前に住んでいた場所って
一年前ぐらいに、
私達と同い年の男の子が消えた所だよね。
そう言えば……
あの子、どうしたんだろうね?』