ピンポーン
って、夕方家のチャイムが鳴った。
俺は、あまり人に会うのが苦手で
いつもチャイムを無視してた。
すると、潤が出てくれたんだけど
今ではその潤がいない。
ひたすら居留守をつかってるのに
怯むことなく、何度もチャイムを押すので渋々出てみた。
玄関を開けるとスーツ姿で
50代位の男性が立っていた。
『すみません。
私、櫻井先生の同僚で飯田と言いますが
櫻井先生はが在宅ですか?』
なんで?
なんで翔君の学校の先生が家に来るの?
なんでここに住んでることを知ってるの?
俺が不思議そうな顔をしているのに気付いて。
『あー。一度、マンションの方にもいたんですけど
留守だったので
仲良くされている貴方のとこに居るかと思いまして…』
と言う。
『なんで?
どうしてここに?』
俺の問いに
『私、三年の学年主任をしてまして
櫻井先生とは、校内で一番仲が良いんです。
貴方のお話も聞いていたんで…………』
と言ってニコって笑った。
『………………そうでしたか。』
翔くんは、この人だけには俺達の事話してたんだ。
知らなかった。
『申し訳ないのですが
櫻井先生が、帰ってくるのを
待たせていただいてもいいですか?
ちょっと大事な話がありまして………』
と、強引に玄関に入ってきた。
『あっ………
じゃあ………どうぞっ…………』
引っ張り出すこともできず
仕方ないな………と
俺は、スリッパを出した。
玄関の鍵をかけて
リビングに通すと
ソファーにドカッと座り込み
態度が一変した。
『やってくれるよね。』
突然の変貌ぶりに俺が驚いていると
『櫻井先生だよ。
女生徒孕ませて…………
学校中大騒ぎだ。』
『え?』
お茶でも入れようと、キッチンに向かう途中で立ち止まった。
『あんたもかわいそうにね。
どんなに綺麗な顔して女みたいに見えても
所詮、男だもんな。
いくらやっても、子どもが出来るわけでもなし……
あー。そうか。
だからか………あの変態の性欲考えたら
男位が丁度いいか。』
と、言って含み笑いをする。
なんなんだ?
なんて失礼な奴。
この男は……本当にあの高校の学年主任なのか?
失礼にも程がある。
家にいれなければよかったって思っても
今更、もう遅い。
『あんなは、何が言いたいんですか?』
俺は、口調を強めて睨み付けた。
『………だからさ。
櫻井は生徒を孕ませたって話だよ。
聞いてないの?』
『あっ…………』
昨日からの翔君の態度を思い出した。
まさか…………
翔君がそんなこと…………
ありえない。
『そんなのは、嘘だ。』
俺は、言い切った。
そいつは
『あんたも、櫻井に騙された内の一人ってわけだ。』
先程のにこやかな笑顔と違って
厭らしい笑みを浮かべた。
気持ち悪い。
こんなやつと一緒にいたくない。
『あんたとの話はここまでだ。
さっさと帰ってもらおう。
帰れ。』
と、飯田と言う男の体を押した。