"ゴンゴンゴン"
鉄の重たい扉を叩くと、低い金属音が階段に響き反響する。
"ギッギッギー"
油の切れた蝶番の錆びれた音がして扉があいた。
『こんな時間に、
あんたら……誰だ?』
顔を出したのは、田所本人でも母親でもなく
40代位の男だった。
怪訝そうに俺達を見て
『なに?』
と言う口からアルコールの臭いがする。
『私どもは、優依さんの学校の者で
櫻井と申しますが………』
そう言うと態度が一変
今にも胡麻を摩るような手招きで
『ああっ。学校の先生でしたか。
優依がお世話になっております。』
と、頭を下げた。
この人は誰だ?
この人の存在を聞いた事がないぞ。
俺は嫌な予感がする。
『あの~。優依さんのお母さまは……』
と、後ろに立つ養護教諭の女性が顔を出した。
男は凄く愛想のいい顔を見せて
『あー、申し訳ない。
今、仕事に行ってましてね。
どうしましょうか?』
と、言う。
『えっと………
失礼ですが………
わたくし、優依さんのお宅は
二人暮らしと聞き及んでおりまして………』
と、俺が言うと
『あー、申し訳ありません。
優依の叔父です。
優依の母親の兄です。』
と、にこやかに笑った。
『ああっ。そうでしたか。
失礼しました。
実は…』
と、言いつつ中を覗くと
『あっ。先生どうしたの?』
と、彼女が出てきた。
『体調は大丈夫なの?』
俺達は、あの部屋から彼女を連れ出し
今、近くのファミレスに来ていた。
『先生の奢りでいい?
パフェ食べてもいい?』
と、おおはしゃぎだ。
叔父さんの後ろから顔を出した彼女は
叔父さんに、「ちょっと出てくるね。」と言って
俺達を引っ張ってここに来た。