こんなに楽しいとは思わなかった。
桐谷さんが勝手に履歴書を送って
俺としては不本意なところもあったけど
ダンスレッスンを始めたら、友達も出来たし
なにより楽しい。
芸能界に興味があったわけじゃないけど
先輩のバックで踊る仕事をしてみたり
コンサートのバックについたりしているうちに
いつか自分も、ここに立ちたいって
思うようになってた。
ダンスのうまい奴がいると
闘争心むき出しで張り合ってみたり
真似てみたり
ボイスレッスンで歌も上手くなりたいって
欲も出てきたら
もう、いろんなことが後回しになっていった。
学校も行っては昼で早退したり
授業終了後、速攻帰ったり。
和と距離を置くつもりはなかったけど
結果的にはそうなってしまい
メールも、lineも無視する形になった。
「後でゆっくりメールしよう、lineしよう……」って
思っているのに
家に帰ると疲れから
すっかり忘れて寝てしまう。
そんな毎日。
和が寂しい思いをしてるとか
嫌われたと思っているとか
そんなこと思いもしなかった。
夏休み直前に事務所の方から
秋のドラマの出演や
ワールドカップバレーのサポターとして
他の4人とグループを組むことなど
本格的に芸能界入りする話を聞いた。
それにともない、合宿所に入ることや
学校の事を親と相談するようにとも言われ。
この時点で、もう今の学校に対する未練はなくて
すっかり和の存在も忘れていた。
翔さんに言われるまで…………