『お邪魔しました。』
あれから、二人で宿題をやって
ソロソロ帰ることにした。
智さんに挨拶すると
『ご飯食べていけばいいのに』
と、残念そう。
『ありがとうございます。
でも、叔母が待っていると思うので
帰ります。』
『そっか。
そうだね。
じゃあ、気を付けてね。』
と、手を振ってくれた。
『じゃあ………
俺、送ってくるわ。』
と、潤くんが自転車を出してきた。
『うん。気を付け』
『智さんって
本当に凄い人だ。』
『………どうした?
突然。』
『…………ちゃんと話してわかった。
沢山の、痛みや苦しみを経験してるから
我慢強く、人の痛みがわかる人なんだ。』
『うん。』
潤くんが嬉しそうに笑った。
和を駅まで送って帰ってきて
夕食を済ませてお風呂に入って
部屋に戻って明日の用意をしていたら
鞄から一通の開封済の封筒が出てきた。
「あれ?なんだっけ?」
中身を取り出すと思い出した。
放課後、桐谷さんが俺にくれた
J事務所のオーディション案内の用紙。
「あ…………こっちもどうしよう…………
参ったな~……」
雅紀を傷つけることなく
和とのことを何て言って報告したらいいだろうか
って思い悩んでいるのに
その上………
でも………試してみたい気持ちもある。
芸能界に興味がないわけでもない。
オーディションに受かる訳でもないだろう。
一応受けてみようか。
まだ、2週間先の話だから考える時間はある。
部屋のカレンダーにオーディションの日を花丸で囲んだ。
「そう言えば………
雑誌はいつ発売だったっけ?」
呑気にポカーンと考えていた。