『ちょっと………松本くん待ってよ。』
『何?
俺急いでるんだって。』
俺の腕を掴んで放さないのは
昼休みに俺に会いに来たB組の桐谷さん。
さすがに"今年入学した中で一番の美人"
と、言うだけあって本当にスレンダー美人。
どこかの女優かアイドルかって感じの娘。
でも、それだけ
それよりもとにかく
早く帰りたかったのに捕まってしまった。
和と帰るつもりでいたのに
桐谷さんに呼び止められたら
『じゃあ………俺行くわ。』
ってあっさりと身を引いて行ってしまったから
追い付きたいのに。
この子は俺の手を放さない。
『ほんと、なんなの?
放せよ。』
ちょっと、きつめに睨み付けた。
なのに全然怯むことなく
『松本くんに話があるのよ。
ちゃんと聞いてよ。』
って引っ張る。
『なんだよ。
じゃあ………早く言え。』
仕方がない和にはメールして
駅前の本屋で待ってるように言おう。
『もー……
全然優しくないんだから。』
と、言うと一枚の封筒をおれに差し出して
『松本くん、オーディション受けてみない?』
と言う。
『ハアア~?』
俺は訳がわからず変な声を出していた。
『松本くんの履歴書を勝手に書いて送ったら
最終審査まで残って
オーディションの通知がきたのよ。』
『はああ?
意味わかんねーし…………
なにやってくれてんの?』
『学校一イケメンの松本くんをアイドルにしようって………
絶対に受かるから行ってみてよ。』
手渡された封筒の中には一枚の紙が入っていて
そこには場所と、日時が書いてある。
『兎に角、受けてみて。
松本くんなら絶対受かるから。』
そんな熱弁振るわれても…………
突然オーディションって言われても
なんの特技もないし………なあ………
『………興味ない?』
と桐谷さんが俺の顔を覗きこんだ。
『いや………
実は…さあ…………
モデルの仕事始めてたんだよね。』
『え!!
……………うそー』
『うん。』
『でも、一応ここまで残るのって凄い事だから
受けてみてね。
じゃ………』
って言って去っていった。
「ふ~ん。
J事務所っていったら
日本一のアイドル事務所じゃん。」
よく考えて見ようと鞄にその封筒を仕舞って
急いで和にメールをした。