俺は、後ろから突然抱き締められて驚いた。
『な……何すんだよ。』
俺は体をよじった。
『…………智……………』
抱き締める手に、いっそうの力が込められた気がする。
抵抗してもまず無理だろうから
俺は棒立ちのまま静かに立っていた。
『智………
俺…………』
え………?
泣いてるの?
翔の声が震えてる。
なんで?
『…………なんだよ。
なんで泣いてるんだよ。
……………離せ。』
『いやだ。
お前が好きだ。
お前の全部。まるごと好きだ。
だから、俺の事ちゃんと見てくれ。』
バカな翔…………
なんも知らないで
丸ごと好きだなんて…………簡単に言うな。
本当の事を知ったら離れて行くくせに………
『ねえ。』
俺に抱きついたまま翔が尋ねてくる。
『なに?』
俺は呆れた声を出す。
『………智の…………
秘密って…………なんなの?』
俺の体が強張った。
それに翔が気づいて
回していた腕をゆっくりはずした。
『俺の……………秘密を知ったら…………
俺の前から……………消えて……くれるか?』
………そうだな。
翔が俺を忘れるためには
俺の事を忘れて新しい人生を進むためには
俺の秘密を明らかにすべきかも知れない。
これを見て…………
あまりの醜さに…………
もう二度と………
俺を好きだ………などとは言わないだろう………
今度こそ本当のさよならだ。
そう思って
俺は、着ていた服の釦を外していく。
智が
『俺の秘密を知ったら
俺の前から消えてくれるか?』
と、言った。
智の背中が震えてる。
そして、震える手で自分の服の釦を外していく……
『なにするつもり………』
と、俺が聞くと
『これが俺の秘密だよ。』
と言って、上に着ていた服を脱ぎ捨てた。
そこに見たのは
智の背中にある痛々しい傷と
二の腕から装着された義手だった。
なにも言わず
背中を向けて
顔が見えない。
でも、肩が震えてるよ。
知られたくなかったのはこの事か………
かわいそうに………
ずっと苦しんで来たんだろうな……
俺は思わず智の背中の傷に手を伸ばし
『今も………痛いの?』
と聞いてみた。
「うんん」と、首を左右にふる。
俺は智のその傷にキスを落とす。
『ば、ばか…………何すんだよ。
汚いだろ。
醜いだろうが………やめ』
と、振り向いた顔は涙で濡れていて
愛しさがあふれて俺は智を抱き締めずにはいられない。
そして、智の震える唇にキスをした。