『なんで?
なんであんたが
智の卒業アルバム持ってるわけ?』
なんだかよくわからない。
『あんたって………
一応、俺教師だからその点は気を付けろ。』
『………ふ~ん。
で、なんで持ってんの?』
『お前は何にも聞いてないのか?』
『何を?』
『事故のことだよ。』
『あーあー。
あん時、俺まだ赤ちゃんだったからね。
なんも覚えてないの。
智も話したがらないし………』
『そうか………。』
俺はずっと持ち歩いていた新聞の切り抜きを松本に見せた。
『あれは、中学の卒業後。
春休みの連休を利用して
智の家族は両親の実家に遊びにいってたらしい。
その帰り道に、居眠り運転のトラックに追突されて
その反動で前のトラックに追突して炎上。
4人が亡くなって、智と君が生き残った。』
『知ってるよ。
それぐらい』
と言って、新聞の切り抜きを俺に返してくれた。
『………俺な。
…………俺、あいつが……好きだった。
一緒にこの学校に通うのが楽しみだった。』
『いいのかよ。
そんなこと、俺に言って。
あんたがホモだって言いふらかそうか?』
松本がニヤッと唇の端を上げた。
『いいよ。言っても。』
『言わねえよ。んなこと………』
と、松本が下を向いた。
『あの事故のニュースを知って
どんだけショックだったか…………
中学の担任の転勤が決まってて
卒業アルバムを、比較的智の家が近くて、
級長でもあった俺が預かっていたんだ。
何度か自宅を訪ねたけど誰もいなくて
そのうち違う人が住だして
もう二度と会えないんだって諦めてたよ。
でも、奇跡がおきて……』
『ふ~ん。
でも、残念だね。
智は人を好きにならないよ。』
『え?
なんで?
昨日、智からも言われた。』
『え?
あんた昨日、告白したの?』
『告白って言うか………
「中坊の時、好きだった」って言った。』
『で?智の反応は?』
『人を好きにならない』
『じゃあ、そうなんじゃね。
はい。諦めてください。』
『お前、それでいいの?』
『なにがだよ。』
『智の本当の。
屈託のない笑顔知ってるか?』
『…………』
『そんな顔見たことあるか?』
『……………』
『人生を悲観してるような智に
人生は其なりにおもしろいんだって教えたい。』
『………………なんも知らないくせに
勝手なことばかり言うな。
なんも知らないくせに………』
俺は会議室のドアを開けて部屋を出ると
勢いよく閉めてやった。