心肺停止の状態で見つかった智。
俺たちはこの町で育った。
この海岸は庭みたいなもんで
夏には毎日の様に泳ぎに来て
季節が変わると釣りをする。
そんな俺たちの遊び場………
だから子供の頃から教えられていた
心臓マッサージや人工呼吸
いつかどこかで役に立つからと………
それが今、役に立つなんて………
『さとし……
智…………帰ってこい……………
智…………智………………』
俺は智を呼びながら人工呼吸を行った。
何分間呼吸が止まってたんだろう………
脳に障害が残ったらどうしよう………
そもそも…………
もし……………
自分が……生きてる事で苦しむのなら……
このまま…………
死んだ方が……………智のためなのかも…………
そう思ったら一瞬手が止まった。
『はい。退いて退いて
退いてください………』
と、救急隊員の声で我に返った。
ゴホッ…………
ゴホッゴホッ………
智が水を吐いて呼吸を始めたのを見て
「……………よかった。
よかった。」
俺は尻餅を着いた。
放心状態で智が運ばれるのを見ていたら
『誰か一緒に乗る人はいますか?』
と、声を掛けられて俺は救急車に乗った。
長い夜が始まる。