こんな無表情な翔くんを初めて見た。
鍵を返してって俺の前に手を出した翔くん。
いや………いやだ…………
俺は翔くんにしがみついた。
『なに?…………離せよ。』
翔くんの冷ややかな声…………
いつも優しく俺を包み込むように囁いてくれるのに……
こんなにも翔くんを…………
俺は傷付けた………
涙が止まんない。
声も出ない。
謝らなきゃいけないのに………
俺は首を左右に振った。
『…………やだ………じゃねーよ。
………………あなたが………
あなたが答えを出したんでしょ。』
『………………』
『…智くんが………二宮先生を…………選んだんでしょ。
もう…………俺、
………………必要ないじゃん』
俺は思いっきり首を振った。
翔くんが呆れたようにため息を着いて
『…………俺に…………
俺にどうしろって言うんだよ。
…………バカ智』
そう言って、翔くんが俺をきつく抱きしめた。
息が出来ないほどきつく抱き締めて
俺は翔くんにより一層しがみついた。
でも、次の瞬間
俺の体を突き放し
『……………いつまでも…………
俺を………利用…………すんな…………』
と部屋から追い出され
目の前で
"ガチャン"と鍵を掛けられてしまった。
完全なる拒絶。
ドアの前で呆然と立ち尽くす俺。
翔くんの心が……遠い…………
止めどなく溢れる涙を拭う事も忘れて
翔くんの部屋のドアをジーっと見つめて
思い出していた。
この部屋で過ごした日々…………
翔くんに………心から愛されていた日々を………
俺が……………えらんだ……………
俺が……………………
ドアに着いてる郵便受けに
"ポトン"………と、合鍵を落として
俺はその場を去った。