事務所から直接仕事場に向かう。
今日は5人の新しいCMの発表会見の日
事務所からは記者の質問には
商品に関する質問以外、応えなくていいからと言われ
てる。
控室に入るとメンバーが内容を知ってるのか
『大丈夫か?
事務所に何か言われた?』
と、心配してくれた。
『大体、翔くんがいるのに大野さんが浮気なんて……
ないでしょ』
"浮気"と言う言葉に心臓がはねあがった。
翔くんを見ると黙って俺を見ている。
ニコリともせずに………
俺の秘密が暴かれてるような不安が広がる。
『用意が整いました。』
とスタッフが俺らを呼びに来た。
新しいCMの話を5人でワキャワキャと話
(と、言っても俺はいつも相槌を打つだけ)
俺たちは一通り質問に応え
記者会見は終わった。
はずだった。
俺が演壇を下りる直前に
『大野さん、彼女は恋人ですか?』
一人の記者が叫んだ。
『彼女の方は否定してませんよ。』
『え?』
俺は驚いて叫んだ記者を見ると
遠巻きに見ていた他の記者たちが寄ってきて
4人から引き離され
俺は記者の餌食になってしまった。
『彼女とはどういった付き合いですか?』とか
『彼女とはいつからの付き合いですか?』とか
『彼女の方は「いいお付き合いさせていただいてます。」って言ってますよ。』とか
『結婚されるんですか』とか
寝耳に水とはこの事だよ。
彼女のどこを好きになった?のか矢継ぎ早に質問が飛ぶ
俺はなにがなんだか分からない。
彼女っていってるその子の顔さえ知らないし
名前を出されてもピンとこない
なのに話は先へ先へと進んでいく
俺は『えっと………』としか言いようがない。
その内、記者たちを掻き分けて翔くんが俺の腕を掴み
『どうも大野君は動転してるようなので
後程、お話しますので………』
と助けに来てくれた。
翔くんに引っ張られて裏手に回り、ほっと息をつき
『翔くん………ありがとう』
と、俺が呟く。
翔くんが少し怒った顔を向けて
『俺にはちゃんと話して』
と言われてしまった。
『…………うん。………わかった。』
なんでこのときにすぐ
『なんにもないよ。心配し過ぎ』って言わなかったんだろう……