俺は確かに動揺していた。
『俺、結婚するんだ』
そうだよね。
適齢期だよね。
一般社会では、家族を持ってこそ一人前だよね。
まして、お医者さんだもんね。
俺は、つい最近までニノの事を忘れられずにいたのに
ニノはとっくに俺との事を忘れて
女性とお付き合いしていたんだ………
「ニノは…………女の人を抱けるんだ………」
そんなことを考えながら
翔くんの待つ病室に戻った。
『翔くん、どうしたの?』
翔くんがまさにGパンと格闘中
『あっ、智くん………
Gパンって片手だと履きづらいもんだね。』
と苦笑いを見せた。
『待って俺が手伝うから』
俺が履かせて釦を留めてファスナーを上げる。
『サンキュー』
翔くんがちょっと恥ずかしそうにするから
変に俺も恥ずかしくなる。
『………ちゃんと話せた?』
『うん。
ありがとう翔くん。』
『よかったね。』
翔くんの優しい眼差しに俺は翔くんに抱きついて
『あのね。
ニノに「櫻井くんは恋人?」って聞かれたから
「そうだよ。」って言っちゃった。
いいよね。』
俺が上目使いで翔くんを見上げた。
『いいに決まってるでしょ。
俺は嬉しいよ。』
とチュッと口付けた。
『よかった。』
『二宮先生の反応はどうだった?』
『ふふふ………二宮先生だって………
ニノはね。
結婚するんだって。』
『そうなんだ。
いつ?』
『知らない。
聞かなかった。』
『そう。
ショックだった?』
『うーん………
わかんない。』
俺、ショックだったのかな……?
このモヤモヤは…………
『ねえ。今日帰れるって言ったでしょ。
二人で新幹線で帰ろうか』
『う~ん。
ばれないかな?』
『俺、意外とばれないよ。』
『大丈夫ならいいけどさ』
俺はちょっとあご出して変装しようか。
で翔くんには一重にしてもらって………
フフッちょっと楽しそう。
と思い浮かべながら笑った。
『智くんにお願いがあるんだけど………』
『なに?』
『俺、こんなんじゃん。(と右腕をちょっと上げた)
身の回りの手伝いしてくんないかな。
しばらく俺んちで………』
『フフフッ………
なんかさ、こっちもプロポーズみたいだよ。』
『出来るもんならしたいよ。俺は!』
『フフ………そうなんだ。
じゃあ、恋人として翔くんのお世話してあげるよ。』
と、キスをしてやった。