『にの!』
俺は病室を飛び出した。
『………ばか。
有名人が出てくんじゃないよ。』
と振り向いた。
一応マスクと帽子は着けてるけど
確かに誰かにばれたら不味いよね。
ニノが職員控室に俺を入れてくれて
そこでコーヒーを出してくれた。
『本当に久しぶりだね。
TVではよく見てるんだけどさ』
俺の向かい側のベットに腰を掛けて言う。
ずーと会いたかったニノが笑ってる。
俺はやっぱり言葉が出ない
大好きだったニノがいる。
何を言えばいい………
何を聞けばいいの…………
俯いてコーヒーカップをじーっと見詰める俺
『………………』
『また、黙りかよ。』
俺を見てふ~と息を吐くと
『………まあ……俺が悪いんだよね。
ごめんな。』
『……………な、何で?
何で………嘘ついたの?』
『うそ?
なに?………俺、なんか嘘つきましたっけ?』
お得意のこのとぼけかたは健在なんだ
って思ったら笑えて緊張がちょっととれた気がする。
10年近く会ってないのに、変わってないところを見つけて安心した。
『うそついたじゃん。
相葉君と付き合ってるって』
『あーあ……ばれちゃった。
でも、今さらでしょ?』
『何であんな 嘘 言ったんだよ。』
俺が口を尖らすから
『ほら………アイドルがんな顔すんな』
と俺の唇を摘まんだ。
『俺、ショックだったんだからな』
ニノの「ショック」の意味がわからない?
『なんで?
何でニノがショックなの?
ショックだったのは俺でしょ。』
そうだよ。
京都から帰ってまたニノとやり直せるって思っていたのに……
最後の夜だって
あんな乱暴に俺を抱いて
俺が傷つかないとでも思ってるの?
と、言いたいけど呑み込んだ。
『俺さ………
智の舞台、観に行ったんだよ。
コンビニでバイトして新幹線代捻出して………
凄いだろ。俺がバイトだぜ。
勉強かゲームしかしない俺が。
「お弁当温めますか」とかいってたんだぜ。』