ニノの携帯に何度も何度も掛けてるのに繋がらない。
監督の目を盗んでここに来るのは大変なのに………
受話器を握って祈るように俯いてた呟いた。
「お願い。出て。
お願いニノ……………出てよ。」
そうだよね。
公衆電話からだから警戒して出ないよね。
誰かもわからないもんね。
ニノとの連絡手段が無くなった。
もうワンコール………
もうワンコール………
やっぱり………ダメか………
と受話器を下ろそうとした時に
「…………もしもし…………」
ニノの声が聞こえた。
『は~あ。やっと繋がった。』
受話器をしっかりと握り締めて大きく息を吐いた。
「………さ、…………とし………」
俺の名前を呼ぶニノの声が震えてた。
もしかして泣いてる?
『どうした?
ごめん。……わかんない………どうしよう……。
大丈夫?……………ねえ?……』
ニノが泣いてる?
どうしよう………
ニノの涙に俺、弱いんだよ。
俺が受話器越しで狼狽えていることに気付いたのか。
ニノがクスって笑った声が聞こえて
ちょっと安心した。
『和也。』
"ニノ"とは呼ばずに名前を呼んでみた。
「な、なんだよ」
あっ、照れてる。
『…………ごめんね。』
『ずっと連絡…………待ってただろ。ごめんな。』
「…………………」
なんの返事もない………
怒ってるよな。そりゃそうだよ。
でも、俺の言い分も聞いてくれよ。
『俺の携帯…………。京都に着いて直ぐに演出家の先生に没収されたんだ。』
そう言うとニノが凄く驚いた声を挙げた。
それから京都に着いてからの事を話して誤解を解いた。
「…………稽古………大変そうだよね。」
『………うん。ホームシックになりそう』
ニノは寂しくない?
ニノはどうしてる?
ニノの声から表情や仕草を思い浮かべる。
「………俺さ…………ビデオ見たよ。
学園祭のビデオ…………』
『えっ?マジで?
なんで?どうやって?』
「相葉君に見せてもらった。」
『えっ!!なんで?なんで相葉ちゃん?
にの…………親しかったっけ?』
どうして相葉ちゃん?
2度しか会ってないはずだけど………
俺のいない間に仲良くなったの?
不味いよ………
「智が………京都に行ってから
……………よく会ってるんだ。」
『和也、
……………………相葉君とよく会ってるの?』
そりゃー不味いでしょ。
相葉君はあっちの人だから、かわいいニノが………
「うん。家にも遊びに行ったよ。
中華料理のお店やってるんだね。
ごちそうになって……美味しかった。」
うっそー。
もうしっかり標的じゃんか。
相葉君はいいやつだよ。
優しいしハンサムだし……
でも、ニノは渡せない。
「あのビデオ見て凄い驚いたよ。
智、超かっこいいんだもん。
やっぱりアイドルだね。
もう…………住む世界が違うんだな………って思った。」
『そんなことないよ。…………俺は俺だよ。』
そんなこと言うなよ。
俺は何にも変わってないよ。
ニノの幼なじみで、恋人で……
「違うよ。…………もう智は……
俺の知らない智だよ。』
そう言うニノの声が震えてた。
泣いてるんだね。
『…………ごめん。
俺、泣かせてばっかだな………』
「……………泣いてねーし」
嘘つけ………
ニノの強がりに俺の目からも涙が溢れた。
「智………俺たち…………
友達に戻ろう」
『えっ?なんで?どうして?』