ハンドルを握る俺は賑やかな街中を走らせる。
新入生歓迎会の時期なのか若者が溢れている。
そう言えば、
去年の今頃だったな………
智くんの病気がわかったのは………
たった一年で………
たった一年で症状は進行してしまった。
(一緒に死んでくれ)
「いいよ。
………翔くんに殺されたかったな………。」
不意に智くんの言葉が
智くんの悲しく歪んだ笑顔が蘇り俺は急ブレーキをかけた。
幸い後ろから来る車もなく追突は免れたが
嫌な予感は拭えない。
まさか……まさかだよね。
俺は震える手で携帯を握り
急いで智くんに電話をかける。
「この電話は電源が切れているか電波の届かない…………」
俺の嫌な予感は確信になり、
車をUターンさせてもう一度智くんの家に向かった。
智くんの家に着いた頃には日付も変わり、
家も真っ暗で寝静まっている。
「どうしよう」
ただの不安だけのことで起こすべきか。
もう一度、智くんの番号をタップした。
「この電話は電源が切れているか……………」
なんともなければいいじゃないか。
と言い聞かせ呼鈴を押した。
暫くしてから玄関の灯りが点り中から
『どちら様ですか』
とお母さんの声。
『あっ、夜分にすいません』
『え?翔くんなの?』
『はい。すみません』
『ちょっと待ってね。』
とお母さんが開けてくれた。
『どうしても気になって……すみません…』
と言うと智くんの部屋に急いだ。
「トントン」
俺は一応ドアを叩いてみた。
『翔くん、安定剤飲んでるから………』
とお母さんが「寝てるはず」だと言う。
そっと扉を開くと
月灯りに智くんの部屋はほんのりと明るく
智くんが寝ているのがわかった。
ほっとして智くんに近づき
ベットの脇に膝まづき智くんの頬を撫でる。
『?』
なんとも言えない違和感。
と同時に身体全体が震えだした。
その姿を見たお母さんが『さとし!!』と叫んだ。