玄関のドアを開けると真っ暗で静寂が満ちている。
いつもなら灯りが着いていて
テーブルにはヘルパーさんが作った料理があって。
TVをつけっぱでソファーに寝てる智くんが、
俺の気配に目を覚まし、目を細めて「お帰り」って言ってくれるのに………
玄関の灯りを着けると
今朝、そこにあった智くんの靴が一足もない。
寝室のドアを開けるが
そこにも智くんの形跡はすでにない。
リビングのドアを開き
暗いリビングの灯りを着けると
冷蔵庫からペットボトルを取り出して
ゴクゴクと飲み込む。
ふっと食器棚が目に入った。
棚には智くんとお揃いのマグカップが2つ並んである。
智くんが本当は居るんじゃないかと思い。
『智くん?』
と声をかけてみた。
静かな部屋い俺の声だけが響いた。
ふっとリビングのテーブルの上に何かがあるのに気がつき、近づくと一枚の画用紙と鍵がある。
鍵は俺が智くんに渡した合鍵。
付き合いだして半年位の時に渡した合鍵。
病気になって俺の前から消えたとき
合鍵だけは『お守り』と言って大事に持っていた
あの合鍵が置いてあった。
『もうお守りにもならないか』
もう1つの画用紙を手に取りひっくり返すと
俺はその場で膝まづいた。
俺の……
俺の照れ笑いしたスケッチ。
脇に
「翔ちゃん。笑って。
おいら翔ちゃんの笑った顔が大好き」
と書いてあった。
『………うっつ………ううっ………』
『智くん………智くん…………ううっ………』
俺の目から泪が溢れて止まらない…………