『今日のお客様は
先日、趣味で描いていた絵の個展が大盛況だった
「嵐」大野智さんです。』
司会の女性がおいらを紹介してくれた。
Jr時代から可愛がってくれた彼女はおいらの病気を知って自分の事のように泣いてくれて。
その人からのオファーでおいらは最後のTV出演と決めて今ここにいる。
『こんばんは』
おいらはカメラに向かってお辞儀をした。
司会の女性が
『お久しぶりですね。』
と少し涙目でおいらを見るから鼻の奥が痛くなった。
『…そうですね。』
『体調の方はいかがですか?』
『……お騒がせしてすいませんでした。
暫く体調はよかったんですが
最近は……
脚が…動かなくなりましたね。』
彼女がハッと握っていたハンカチを口許に寄せた。
『進行性の病気なんで仕方ありません。』
『病名を聴いた時は驚いたでしょうね。』
『…………最初は理解出来ませんでしたね。
頭の中で、ただただ「何で?何で?」って
「何で俺なんだろう」と繰り返し尋ねてました。』
『そう
辛かったわね。
メンバーはなんて?』
おいらは頭を振って
『言えませんでした。
………だから彼らの前から消えたんです。』
と言った。
『…………』
彼女は言葉が詰まったのか
無言で目頭をハンカチで拭いていた。
『でも、彼らの情報網を侮ってましたね。
アッと言うまに見つかり、
連行されましたけどね』
『そ、そうだったの』
『本当にいい仲間と巡り合わせてもらったと
感謝しています。
個展の話も相葉ちゃんの提案なんですよ。』
『個展と言えば凄い盛況だと聞いてますよ。
実は私も行って来ました』
『えっ!
ほんとですか。ありがとうございます。』
『見に行くに当たって
ある人からアドバイスをいただきまして……』
『えっ?誰ですか?』
『V6の岡田君です。』
『あーあ。成る程……気付いちゃいました?』
『ええ。
ここで発表してもいいのかしら』
『イヤー。
内緒にしておきませんか?
気付く人は気付きますから』
『そうですか?
残念だわ。
でも、本当に凄いわね。
特にあの犬ね。
あれはほんとよく見て欲しいわ。』
『ありがとうございます。』
彼女はどうやって絵を描いてるのかとか、
メンバーはどう援助してるのかとか、
どんな暮らしぶりなのか聞いてきた。
なんでこんなこと話してるんだろう。
この人だからなのかもしれないが
無事に収録を終えることができた。